2022-01-01から1年間の記事一覧
ストレスの9割は人間関係 小林弘幸『整える習慣』(日経ビジネス文庫、2021年)を読みました。 著者は順天堂大学医学部教授で、「自律神経」とうまく付き合うための行動術を108個紹介しています。行動術一つについて見開き2ページで紹介しており、筆致はごく…
映像的であること 久しぶりに『虫めづる姫ぎみ』(ポプラ社、2003年)を読みました。文章は森山京、絵は村上豊の絵本です。 毛虫が好きで、お歯黒もせず自由に生きる姫が主人公の話で、『堤中納言物語』の有名な一篇です。「ナウシカ」のモデルの一つになっ…
周囲に甘えているだけ そんな言葉を最近知りました。常に暗い気分でいて、周囲の人の気分をも暗くしてしまう人のことです。気持ちが暗く沈んでいて周囲をも飲み込んでしまうということは、まるでブラックホールのようではないかと思います。 私の知人に、昔…
日本は「水族館大国」 宮沢洋、Office Bunga『イラストで読む建築 日本の水族館 五十三次』(青幻舎、2022年)を読みました。 全国の水族館を紹介するのみならず、それらを建築的なポイントとともに伝える本です。日本は100館近い水族館を有し、それがなんと…
情報の宝庫 調べ物のために手に取った『北区こぼれ話2』(北区立中央図書館、2019年)。これがかなり面白く、やっぱり郷土史というのは情報の宝庫だなぁという気がしています。 本書は、東京の北区立中央図書館・北区の部屋が発行している「北区の部屋だよ…
珍しい水生生物たち 板橋区立熱帯環境植物館、通称「グリーンドームねったいかん」に行き、企画展「魚のカラフル美術館」を見ました。 タイトルの通り、カラフルな体をした魚やカニやエイを展示する企画展です。 グリーンドームねったいかんの企画展は長年に…
あらゆる藝術に言えること 近ごろそんな言葉を知ったのですが、面白い言い回しだなぁと思いました。 劇団四季について調べていて、創立者の浅利慶太が座右の銘としていた言葉だと知りました。元々は、フランスの俳優であり演出家でもあったルイ・ジューヴェ…
結末のわからない小説 松本清張のデビュー作「西郷札」を久しぶりに読みました。 題名は「さいごうふだ」でなく「さいごうさつ」と読みます。知らない人が初見だと「さいごうふだ」と読んでしまいがちである(と私が勝手に思っている)ことは、小説の中で一…
あらゆる問題は人間関係の問題 長いですが、読み応えのある記事です。 性や結婚についての突っ込んだ話を、興味本位ではなく行っています。ウィル・スミスが「オープン・マリッジ」を実践しているのは初耳…というかそもそもオープン・マリッジという語そのも…
「空気」を感知できない Twitterに「同調圧力」について書かれたツイートがあり、そこには同調圧力は「世間」が作り出している、とありました。 「世間」は「社会」とは違う概念で、前者は自分に関係のある人だけの世界、後者は自分に関係ない人も住んでいる…
自分自身こそ資本 Eテレでついに今年も始まった「ねほりんぱほりん」。 10月14日のシーズン7第一回は「ギリギリFIRE」で、ある程度の資産を築いて早期リタイヤした男性ゲスト2名が出演しました。 FIREのことは以前から知っていましたが、ギリギリの生活を送…
盗作は良くないがパクりは良い 先日も書きましたが、今取り組んでいる小説は、一種の実験精神で書いています。割と有名な、別の作家の作品の構造を抜き出し、自身の創作に活用してみようと思っています。いわゆる換骨奪胎というやつで、うまくいくかどうかは…
意外なストーリー展開 山脇百合子が亡くなりました。80歳。 「ぐりとぐら」シリーズは恐らく全て読みましたし、『そらいろのたね』や『いやいやえん』もたしか読みました。それくらいでは山脇の仕事の一部しか知らないことになりますが、育児の過程でお世話…
あるスナックのマスターの話 コロナ禍になって生活はいろいろと変化しましたが、その一つに酒との付き合い方があります。 以前は他人と酒を飲む機会がけっこうありましたが、コロナ禍以降、それが皆無に近い状態にまで減りました。オンライン飲み会に参加し…
成功の秘訣は「しつこさ」 私は小説を書いたり文学研究めいたことをしていますが、創作も研究も、労多くして功少なしだなぁ…と思うことが少なくありません。 小説の註釈づくりは労多くして功少なしだと聞いたことがあります。概して文学研究というのは儲から…
自分は変人である。ということ 近年、HSP(Highly Sensitive Person=人一倍繊細な人)という言葉は世間に広く浸透しています。出版界でもYouTubeでもSNSでも、HSPに関する話題を見かけない日はないくらいです。 そういう情報に触れ、HSPの特徴を知って、私…
価値を生み出せれば、仕事を創れる サラリーマンとフリーランスのどちらがオワコンかという、私からすると不毛な議論はかねてより続いているように思います。ここ数年のコロナ禍ではフリーランスの方が大変な目にあっているように感じられますが、言うまでも…
未完の傑作より不出来な完成作 小説を書いています。 書いているといっても、習作というか、こういう書き方をしたらどんな作品になるだろう、という実験的な意図で取り組んでいます。 私はこれまで複数の小説を書き、新人賞に応募し、あるいは自費出版をした…
本との縁 用事があって東京都立図書館のウェブサイトに行ったら、「みんなの積ん読ランキング」なるランキングの結果が発表されていました。面白かったので、見てみました。 1位はプルーストの『失われた時を求めて』でした。サイトに書いてあるのは岩波文庫…
子供とその親におすすめ 『未来をつくる仕事がここにある 証券会社図鑑』(日経BPコンサルティング、2015年)を読みました。 子供向けのお仕事図鑑の本で、野村ホールディングスが監修を務め、青山邦彦という絵本作家が作画しています。どうしてそういう本を…
展示物はほぼすべて日本刀 板橋区立郷土資料館に行き、10月8日に始まった開館50周年記念特別展「接収刀剣―板橋に集いし赤羽刀―」を見ました。 赤羽刀とは、日本が第二次世界大戦に敗戦した後、連合軍に接収された刀剣類、中でも日本刀のことを指します。それ…
細部へのこだわり 先日もこのブログに書いた堀田孝治『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』(技術評論社、2021年)。会社で働くことが向いていない「会社は無理ゲー」な人に、独立のメリットや覚悟を説く本です。 読んで思ったのは、この本の想定読…
愛惜するべき存在 私は二十代の頃、酔っぱらうと知り合いに電話をかけまくり、ほとんど一方的に自分の気持ちを伝えていました。電話しまくる人のことを電話魔とか鬼電とか言うそうですが、私の場合は酔っぱらった時に限ってのことでした。 酒酔いに限らず、…
作家への愚問 9月24日に放送されたEテレ「芥川賞を読む。~“正しさの時代”の向こうへ~」を見ました。芥川賞の歴史で初めて、候補者が全て女性だったことを切り口に、その五つの文学作品を通して現代を読み解こうとする番組でした。 五作品とも、主人公を取…
方法論の本? 和田敦彦編『職業作家の生活と出版環境』(文学通信、2022年)を読んでいます。 榛葉英治(しんば・えいじ)という、私はぜんぜん知らなかった戦後に活躍した直木賞作家に関する資料を扱い、「文学研究の方法や資料について新たな地平を拓いて…
東京都板橋区は10月1日、誕生90周年を迎えました。これを記念し、板橋区立郷土資料館では1日と2日の二日間にわたり、区に関するクイズラリーが開催されました。 全問正解すると、資料館所蔵資料をあしらったオリジナルのクリアファイルが貰えるということで…
「会社は無理ゲー」は切実な問題 堀田孝治『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』(技術評論社、2021年)を読みました。内容は、会社で働き続けることが難しい気質の持ち主を想定読者として、独立に際しどのような気構えと行動を取るべきかを説くもの…
園内にコメダ珈琲店 先日、都立浮間公園に行ってきました。他に要件があり、そのついでに行きました。 この公園は、現在も近くを流れる荒川がかつて蛇行していて、その中に浮島のように存在する湿地で、江戸時代から「浮間ヶ原」と呼ばれていました。桜草の…
許すにはそれなりの努力が必要 吉田尚記『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版、2015年)は、対人コミュニケーションをゲームと捉え、気まずい空気を打倒するためのさまざまな考え方、技術を紹介する本です。 その最後は「まとめ コミュニケー…
関係の再構築は高難度 9月28日のNHK「あさイチ」は、「“毒親”と離れてわかったこと 当事者たちのその後」でした。毒になる親、いわゆる「毒親」という語が知られるようになってから十年が経ち、親と距離を取ったり絶縁したりした人たちの「その後」を取材し…