杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

「勉強好きな変人」

時田ひさ子『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(フォレスト出版、2020年)を読んでいる。この本でいう「かくれ繊細さん」とは、HSS型HSPという、好奇心旺盛で行動的なのに繊細で傷つきやすい人を指す。著者の時田さん自身、これまでの人…

サイコパス

TBSのドラマ「ドラゴン桜」が面白かったので、10年以上前の旧シリーズも見ている。先だって最終回を迎えた新シリーズに比べ、東大受験のコツの紹介が多いように感じた。そして、新シリーズよりも面白い。新シリーズは桜木先生がとても「いい先生」に見えたが…

植村冒険館企画展「冒険家・植村直己 単独行とセルフタイマー」

先日、板橋区蓮根の植村冒険館に足を運び、企画展「冒険家・植村直己 単独行とセルフタイマー」を見た。植村冒険館は今年、移転リニューアルする予定になっており、この企画展は現在の冒険館での最後の展示になるとのことだった。 植村直己は「単独冒険」と…

佐伯一麦「うなぎや」

「文學界」2021年8月号には佐伯一麦の短篇「うなぎや」が載っている。これは連作『アスベストス』の「その四」になる作品で、本作をもって連作は完結という情報がネットに出ている。 作品は半私小説ともいうべきものだが、内容はとてもいい。これは連作タイ…

ジョーク

本多信一『内向型人間の仕事にはコツがある』(大和出版、1997年)を読んでいて、ハッとさせられる箇所があった。 内向型は神経質なほどに倫理的で、人の迷惑になるほんのちょっとした罪さえしでかすことはない。内向型はすぐ過敏に反応するが、しかし真実・…

伝言ゲーム・スタンプラリー・椅子取りゲーム

倉貫義人『管理ゼロで成果はあがる』(技術評論社、2019年)は、著者が、組織で働く個人が楽しく仕事をし、組織として圧倒的な成果を出すために試行錯誤した結果をまとめた本。著者は、ソフトウェアの開発会社・ソニックガーデンの社長であり創業者でもある…

板橋区立熱帯環境植物館「熱帯の昆虫と食虫植物展」

板橋区立熱帯環境植物館(グリーンドームねったいかん)で7月13日から8月29日まで開催の特別展「熱帯の昆虫と食虫植物展」を見てきた。 同じ趣旨の展覧会は毎年、開催しているが、ヘラクレスオオカブトやニジイロクワガタが見られるので楽しい。しかしこの昆…

これからも書くぞー。

はてなのブログ書籍化プロジェクトで本を出した人々とKADOKAWAの編集者担当者による座談会。聞き手ははてなの担当者が務めている。 私のブログ歴はまだ4年目だが、ここに出ている本を出した人はいずれも私より長い。なかには10年以上書き続けている人もいる…

くぼりこ「爆弾犯と殺人犯の物語」

第43回小説推理新人賞受賞作。雑誌を買って読んだ。以下ネタバレあり。 主人公の男は高校時から爆弾づくりを趣味にしていて、片方の眼が義眼の女を愛するようになり、結婚する。しかし女は、男がかつて作った爆弾の爆発で飛んだパチンコ玉によって片方の眼を…

「真面目さ」は人的資本

先日も書いた『ナニワ金融道』の運送屋の話だが、読んでいてもう一つ、気付いたことがあった。 運送屋の社長・赤名の保証人になる背口は、真面目でよく働くから、という理由で帝国金融の社長が評価し、保証人として認められるのである。 帝国金融社長は、赤…

失敗は人間性に起因する

本多信一『内向型人間の仕事にはコツがある』(大和出版、1997年)に、内向型の人間が成功する法則として「成功したいなら、まず“我が失敗の研究”から入るべきである。」とある。 なぜかという、失敗とは、どうも「その人の人間性に起因」しているように思え…

トップギアは馬力がない

青木雄二『ナニワ金融道』を読み返している。世の中は人がお金を血と汗で回していて、その人間は欲にまみれた本能的な生き物であることがよく分かる。いや、そういう人間ばかりを描いているのだ。 運送屋の社長が新車を買うために400万円を帝国金融から借り…

HSPとHSS

高野優『HSP!自分のトリセツ 共感しすぎて日が暮れて』(1万年堂出版、2019年)、面白く読んだ。 HSPの本は巷に多く、これまで何冊か読んだが、本書は著者がHSP(Highly Sensitive Person)であり、なおかつHSS(High Sensation Seeking)でもあるのが、過去…

レファさんありがとう

地元の近所に芥川賞候補になった作家が住んでいて、地元で同人誌を出していたという情報を掴んだので、地元の図書館で独自にいろいろと調べてみたが、同人誌を見つけられなかった。それでレファ係に頼んでみたところ、すぐに調べてくれて、日本近代文学館に…

お金のはなし9 投資と投機

前にも書いたが、ときどき知人とお金、中でも投資について話すことがある。けれどもどの知人も、話を聞いていると、当人が関心があるのは「投資」ではなくどうやら「投機」であるのが分かり、残念な気持ちになることが多い。 ここでいう「投機」とは、平たく…

ハードボイルド風推理小説

大沢在昌の小説推理新人賞受賞作「感傷の街角」(『感傷の街角』(角川文庫、1994年)所収)を読んだ。冒頭数ページで、これはハードボイルドだ、と思った。 不良少年に依頼され、少年がかつて関係を持った女を捜す、という内容。舞台は横浜だが、六本木など…

知的生活の乱れ

最近、自分の知的生活が乱れていると感じる。 生活上の必要に迫られ、実用書の読書が増えているが、それらは私がこれまでよく読んできた学問・藝術の本とは得られるものの種類がまるで違う。歴史の事実を知る楽しみや、表現の妙を味わう喜びは、残念ながらそ…

努力と行動

TBSのドラマ「ドラゴン桜」は6月に放送が終わった。最後まで面白かった。桜木先生が本質的かつ断言的な言い方で生徒などを説得し、鼓舞していく様子は痛快だった。最終回も、それまでの回ほどの強烈さはなかったが、グッとくるものがあった。 女弁護士が免許…

HSPいろいろ

高野優『HSP!自分のトリセツ 共感しすぎて日が暮れて』(1万年堂出版、2019年)を読んでいる。著者は元は会社勤めをしていたらしい漫画家・イラストレーターで、幼時から大人になるまでに経験した、HSPならではの辛い体験を漫画と短文にユーモアを込めて綴っ…

「ちょっと書きたい」人

何人かの、ライターを目指している人と話す機会があった。そうか、ライターをやりたいのか…と思って色んな角度から質問をしてみるのだが、話し終わった時の感想は、たぶんこの人は心底ライターをやりたいわけじゃないな、「ちょっと書きたい」という程度の人…

端倪すべからざる

初めから終わりまでを安易に推し量るべきではない、計り知れない、といった意味の言葉。昔から好きな言葉である。ただし、意味が好きというより、言葉の響きがかっこよくて好きだった。 最初に知ったのは学生時代で、夏目漱石『行人』の中にこの言葉が出てい…

板橋区立郷土資料館 古民家年中行事 タナバタ祭り

板橋区立郷土資料館で7月3日から11日まで開催の「古民家年中行事 タナバタ祭り」を見に行ってきた。この郷土資料館には江戸時代後期に建てられたという、「旧田中家住宅」という古民家が移築展示されている。その中でヒナマツリや端午の節句といった年中行事…

自分ノイローゼ

悩み人間とは換言すれば――自分の事柄に対して深く思索しているうちにノイローゼになった人ということである。 他人の目線の微妙なニュアンスの中に自分への否定を感じて大いに考え込むようになり、先輩や上司の言葉を深く考えてしまって我が心を傷つける私た…

お金のはなし8

知人と投資に関する話をすることが、たまにある。だが、ほとんどどの知人も私とはお金に対する価値観が違っていて、だいたい話は嚙み合わない。 知人の何人かは、お金を突っ込んだら何倍にもなって戻って来るという、ギャンブル性の高いキャピタルゲイン狙い…

小説家は映画俳優

鈴木輝一郎先生のインタビュー記事。朝の通勤電車の中で読んだ。 小説家はたいてい、読者から拍手喝采を浴びない。その点で、舞台で演技する舞台役者ではなく、カメラの前で演技する映画俳優だという。 作品が複製され、全国とか世界にまで同じものとして行…

クリエイターワナビ

最近ふと思いついた言葉。クリエイター志望者の中には、クリエイティブが楽しい、というより、クリエイティブってカッコイイ、と思っている人が多いのではないか…そんな風に思ったことから、この言葉が浮かんだのだ。 長年クリエイティブの世界に身を置いて…

繊細さとタフさ

ライターという職業は、文章を通して何かを伝えたい人のために文章を書く人である。つまり一種の代筆業なのだが、代わりに書いて欲しいという人のことを一般にクライアントという。クライアントの要望を聞き、それを実現する文章を書くのは、往々にして楽で…

心ここに在らず…

近頃の心境。これではいかん…と思う。 悩ましいのは、いっそのこと心が向いている方へ行ってしまうのがいいのか、いやいや夢なんて見るもんじゃないと心を現在地まで引き戻すか、である。 きっと、どちらも一理あって、上手いこと両立するよう努力することだ…

東京の都市再生の物語

島田章『ルポ 東京再興』(日本経済新聞社、2002年)を読んでいる。東京の都市再生の動きを取材した本。面白い。 私が特に関心があるのが、六本木ヒルズやアークヒルズといった森ビルのプロジェクトで、それは森稔『ヒルズ 挑戦する都市』(朝日新書、2009年…

文章よりも内容

百田尚樹『夢を売る男』(幻冬舎文庫、2015年)を読み返す機会があったのだが、興味深いところがあったのでつい読み込んでしまった。この小説は自費出版の世界を描いたもので、百田はいろいろ言われている人だが、この本は面白い。 さて興味深かったのは、「…