杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

世代論について

最近、世代間ギャップについて考える機会があったのだが、果たして世代論なんてのは成り立つのかどうか、という疑問を持った。 私は縁あって全共闘世代の人をいくたりか知っており、それなりの交流もあった。あの世代の人は押しなべて、やたら政治への関心が…

お金のはなし3

最近は家計簿をつけるようにしているのだが、これはお金について深く広く学ぶ一環である。 つけてみると色んなことが分かってきて面白く、また自分のお金の使い方について恥ずかしい思いをすることがある。というのは、どこでどんな無駄な出費をしているかが…

小説から遠からず離れて

最近、ちょっとあることの勉強していて、小説の読書から離れている。そのせいか、ブログのネタが拾えずブログ記事執筆にちと難儀しているのだ。 記事を書くには、閃きでも何でもいいので何かしらのネタを獲得しなくてはならないが、本ブログの中心テーマの一…

怖いのは人間

山登りが好きだった人から、山の中で一人でいる時に何に遭遇するのが最も怖いか、という話を聞いたことがある。その人は、天気が悪くなったり獣に遭ったりするのも怖いには怖いが、最も怖いのは人間に遭うことだ、と言った。それを聞いた私は、なるほどそう…

コペルニクス的転回

物事の見方が180度変わってしまうことを比喩的に「コペルニクス的転回」というが、ようするに前提がひっくり返るということだと思う。 勉強を続けていると、そういうことがたまにある。例えば、「資産」を持ちたいと思って自宅や自家用車を買ったが、お金に…

俳優の自意識過剰

吉村公三郎が『映像の演出』(岩波新書、1979年)で俳優の自意識過剰について書いていて面白い。 俳優の自意識過剰とは、「演技をやりながら、いつも自分は今演技をやっている」という意識から離れられない状態、らしい。自身の感性や空想力が豊かでも、自意…

創作雑記18 構想

最近、長篇小説の構想を練っているのだが、いやぁとにかく構想を練るのは楽しい楽しい。昔は、構想を練っていると早く書き始めたくてイライラしていた。しかし今は小説の世界を構成する要素を作るのが、あたかも年表と地図の空白を埋めていくような感覚で、…

島津保次郎のシナリオ作法

吉村公三郎の『映像の演出』(岩波新書、1979年)には、映画監督の島津保次郎のシナリオ作法に触れている箇所があり、面白い。 彼はシナリオ作法についてこう言っている。「筋(ストーリー)は簡単なほどよい。主題(テーマ)をハッキリさせるためだ。そして…

許したくないという病

片田球美『許せないという病』(扶桑社新書、2016年)を読んでいて、興味深い箇所があった。 私は小説を書く過程で、人間関係の中の怨恨とか憎悪とは、要するに相手を許せないということで、さらにそこに多様な文脈が入り込んでこじれてしまっているケースが…

「にんげん」を描く

『映像の演出』(岩波新書、1979)は、映画監督である著者の吉村公三郎が自らの見聞や体験を元に、映像の演出、というより映画づくり全般について語った面白い本である。やや古いと感じるところも多いが、実体験に基づいていて述べているところなどはやはり…

馬鹿になるしか…

ある人が、会社を経営しているような人はよほどの天才か、あるいは馬鹿のどちらか、と言っていた。スティーブ・ジョブズも学生に対し「愚かであれ」と言い残したそうで、馬鹿みたいにがむしゃらになることが実業家には推奨されるのかも知れない。 そのことと…

太田大八『だいちゃんとうみ』

福音館書店 母の友編集部『絵本作家のアトリエ1』(2012年)を読み、その中でインタビューを受けている太田大八という作家の『だいちゃんとうみ』(福音館書店、1979年)という作品が面白そうだったので、さっそく読んだ。 太田大八は1918年生まれ。父親が…

都立赤塚公園の「雪吊り」今年も

都立赤塚公園を歩くと、松の木に「雪吊り」が施されています。約1年前にも当ブログでこの雪吊りを紹介しました。 冬の恒例行事なので、これを見掛けると「冬」を確認できますね。

お金の地図

泉正人『人生に迷わないためのお金の地図』(新潮文庫、2012年)を読んだ。初めて訪れた土地で動くために地図が必要なように、特に先の見えない不透明なこの時代、人生という旅にも現在地(収入や支出)と目的地(将来の目標)を示す地図があれば、ちゃんと…

物書きのアトリエ

福音館書店の『絵本作家のアトリエ』は、「1」から「3」まで三冊ある(1:2012年、2:2013年、3:2014年)。これはタイトルの通り、絵本作家のアトリエを訪ね、生い立ちや価値観について触れたインタビュー集で、福音館の雑誌「母の友」に連載された企画の書…

佐伯一麦『ミチノオク』第二回 貞山堀

「新潮」2月号に佐伯一麦『ミチノオク』第二回が掲載されている。今回のタイトルは「貞山堀」というタイトルで、「貞山」は「ていざん」と読む。貞山堀は伊達政宗の諡に因んだ命名で、仙台湾沿いの運河「貞山運河」の通称である。 第一回「西馬音内(にしも…

まず自分

会社勤めを続けてきた中で、数え切れないほどの同僚が会社を去っていった。 会社を辞める人の言い分は、大半はネガティブなものだ。「この会社にいても自分の将来像を描けないと思ったから」とか、「この会社には尊敬できる人がいなかったから」などと、まぁ…

取材雑感

大手新聞社に勤めていた人が独立してフリージャーナリストになると困ることがあるらしい。取材しようとする相手が、フリージャーナリストという肩書では取材を受けてくれないということだ。 そんなことをネット上のあるサイトを読んで知ったのだが、ちょっと…

経験論的資本論の断片

自分の事業を持っていない人は他人の事業を手伝うことになる。往々にして。 日本の資本主義社会の中で生きてきて、漠然とながらそんな風に感じた。事業とは要するに「仕事」であり、それはビジネスとか企画とか、あるいは志とか、色んな言い方ができると思う…

へその緒と正札

作家がへその緒を切る勇気がなかった作品はたくさんある。作家が正札を外さなかったプレゼントは結構あるものだ。作家がそれを書くためにどれだけの努力を払ったかを読者が知るのは妥当なことだろうか。知ることが礼儀に適っているのだろうか。 と、アニー・…

消えていく史料

朝日新聞「ルポ2020 カナリアの歌」の2019年12月31日の回は、民間で保管されている歴史の資料の廃棄が進んでいる実態を伝えるもの。いくつかの取材から成立している記事だが、いかんせん、どれくらい捨てられているのかを数値で表すのが難しいため、あくまで…

不惑にはなったけれど

昨年末、新聞では毎年の恒例となっている、その年の主なニュースを一覧で見せる紙面を見た。 私はある会社の社史をまとめた経験があるが、いわゆる「世の中のできごと」の年表を作る時にはこのニュース一覧が大きな力になった。複数の大手新聞からニュースを…

お金のはなし2

色んな角度からお金の勉強をしているのだが、その目指すところは、お金のことでいちいち悩んだり困ったりしたくないということ。 お金の悩みや困りごとはいつまでもついて回ると思うが、それを最小限にしたい。その点、会社勤めをしていれば給料は安定的に入…

ブログ記事の保存

市川海老蔵など著名人のブログが国会図書館で保存され始めた、という記事が昨年の新聞に載っていた。ついにそういう時代が来たか、と私は思った。ブログ記事がれっきとした著作物・知的財産として認められた、ということかと。 ブログが人気を集めて書籍化さ…

複雑怪奇の人間世界

立花隆は大学時代に文学サークルに入り、小説や詩をたくさん書いていたらしい。小説はかなり読み、外国文学の代表作は古典から現代までほとんど全部読んでいたようだ。しかし日本の文学は大江健三郎どまりで、村上春樹になると読んでいなかったという。小説…

ブログの効用

ブログを書くためにはネタが必要。私は本や街や映画をブログの主なテーマにしているので、記事のネタは読書や散歩や、本とか街に関する調べ物をして拾うことが多い。 私の場合は本や散歩で、要するに好きなことをやっていればブログネタを拾うことができるの…

社内報に潜む事実

朝日新聞生活面の「at work」は、様々な仕事の現場を紹介する記事である。2019年12月16日(月)からは「図書館」シリーズが始まり、初回は「調査支援」の仕事を紹介している(24面)。 クローズアップされているのは調布市立図書館で、調布市が地元を「映画…

お金のはなし

近ごろお金に関する勉強をしているのだが、お金の世界というのは知れば知るほど面白いと思っている。 ネットなどでたまに目にするのは、日本人は金融リテラシーが低いとか、お金を汚いと思っている人が多い、などという言説である。しかし、そういう人は海外…

脳のはなし

築山節『脳が冴える15の習慣』(NHK出版、2006年)の存在をTwitterで知り、面白そうだと思って読んでみた。脳科学などを私はぜんぜん知らないのだが、昨年末べらぼうに忙しくて頭の働きの鈍りを感じることが頻繁にあったり、それが長時間寝たらかなり回復す…

「貧しき縁者」とミケランジェロ・カエターニ

バルザック『従妹ベット』(水野亮訳、岩波文庫、1950年)を読んでいるのだが、この作品は上下巻から成る大作で、『従兄ポンス』と共に「貧しき縁者」というタイトルが付けられている。『ベット』は「貧しき縁者」の第一話で、『ポンス』は第二話である。 私…