杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

脳のはなし

築山節『脳が冴える15の習慣』(NHK出版、2006年)の存在をTwitterで知り、面白そうだと思って読んでみた。脳科学などを私はぜんぜん知らないのだが、昨年末べらぼうに忙しくて頭の働きの鈍りを感じることが頻繁にあったり、それが長時間寝たらかなり回復することを実感したり、公園で太陽の光を浴びながらぼーっとしていたらデフォルト・モード・ネットワークが働いたらしく思考が整理されたり、といった体験がけっこうあったので、なるほど脳の働きというのは軽視できないな、と考えていたのだ。

ちなみに武者小路実篤は頭が疲れ過ぎないよう気をつけていたらしく、今ほど脳脳と言われていなかった時代でも脳の働きに意識的だった人はいたのだ。

さて築山著は読みやすくて面白かった。文字通り、生活や仕事の中で脳を冴えさせる15の習慣を説明しており、実例も豊富に紹介されている。中でも、情報を脳に入力する力を高めるためには出力する機会を先につくっておくことが有効だとあり、ブログを書くのは良い習慣だと思うとあったのが面白かった。他人に読んでもらう文章を書くからには、情報をある程度整理する必要がある、さらに書き方を色々と工夫すると記憶が整理されて深く解釈され、脳に刻まれるので良い、とある。なるほど。

私自身の体験から言うと、ブログを毎日書き続けることで、考えが整理されたのはもちろん、自分の欠点や弱点にも気づき、実生活や仕事の中で修正することもできた。それまでは、頭の中でぐちゃぐちゃ考えていただけで、整理されず、したがって思考を前進・展開させることができなかったように思う。恐らく、インプットとアウトプットを繰り返すということが思考を前進させる上で有効なのだろう。