2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧
『六の宮の姫君』(創元推理文庫、1999年)は読むほどに主人公に共感してしまう小説だが、福島に旅行する中で出てくる「ぬなは」のエピソードも面白い。 「ぬなは」とは蓴菜(じゅんさい)のことで、主人公は『拾遺和歌集』に載っていた一首を「ぬなは」の語…
岡村直樹『百冊の時代小説で楽しむ 日本の川 読み歩き』(天夢人、2021年)という本を手に取った。著者は旅行作家だが、多摩川の近くで育って「川フリーク」となったとのことで、本書はタイトルの通り、時代小説を通して日本の川について考察するものである…
八重洲ブックセンターで9月18日から創業祭2021が開催されている。1978年に当時日本最大規模の「マンモス書店」としてオープンし、今年で43周年になったそうだ。 先日、八重洲の本店の近くに仕事で足を運んだので、店に寄り、文庫本を一冊買った。 だが、文庫…
昨年6月、このブログで板橋区高島平の同人誌「高島平文芸」のことを書いた。その時は本誌を未読で、まずは現物に当たりたいと書いたが、一年以上経ってようやく読むことができた。 日本近代文学館(本館)に所蔵されていた。もっとも全てではなく、あったの…
先日、駒場東大前で降車し日本近代文学館に行ってきた。コロナ禍の影響で長く来館サービスを休止していたが、9月20日より再開したので、さっそく行ってきたのである。 恥ずかしながら、初めての訪問である。2階で漱石『こころ』に関する企画展を開催していて…
文化庁による令和2年度「国語に関する世論調査」の結果が24日に出た。 この調査結果で私がよく見るのは間違えやすい言葉に関するところである。今年は「がぜん」と「破天荒」の意味、「寸暇を惜しまず/寸暇を惜しんで」はどちらを使うか、などがあった。 「…
仕事もプライベートも、忙しい毎日。やりたいことが思うようにできず、焦燥に駆られていらいらし、俺はこんなことをやっていていいんだろうか、いっそのこと今の会社も生活もいったん終わらせて新しいことにチャレンジする方がいいのでは…といった考えが出て…
「名は体を表す」というが、名字は出身地を表している(ことがある)。 私が住んでいた愛知のベッドタウンの団地には実家は九州という人が何人もいた。同じ小学校には椎葉、指宿、といった名字の人がいて、今振り返ると、その人の実家は九州にあったのだろう…
この季節、散歩をしているとよくヒガンバナ(曼珠沙華)を見かける。私がいつも記事を読んでいるブロガーが、最近の記事でヒガンバナの写真を載せていた。真っ赤な姿はちと毒々しく感じられるのだが、この花が咲いていると、秋だな、と思う。 余談だが、曼珠…
9月18日から板橋区立郷土資料館の旧田中家住宅でお月見飾りが展示されているということで、見に行ってきた。旧暦の8月15日、9月13日の夜をそれぞれ十五夜、十三夜と呼び、今年は9月21日が旧暦の十五夜にあたるとのこと。 月見は、ススキやだんご、カキやクリ…
ヤマザキマリ『仕事にしばられない生き方』(小学館新書、2018年)の第5章「仕事とお金にしばられない生き方」には、高価な家具や楽器をよく買っていたらしいヤマザキの母親のエピソードが紹介されている。 ヤマザキは高いお金を支払う母親を見て騙されてい…
曽野綾子『心に迫るパウロの言葉』(新潮文庫、1989年)を古書店で買った。ぱらぱらページをめくり、拾い読みしている。 本書のことは、本多信一の『内向型人間の仕事にはコツがある』(大和出版、1997年)という、内向型の人間が仕事をして生きるためのヒン…
こないだ2008年の『文藝年鑑』を見ていて、佐伯一麦と西村賢太が一緒に写っている写真を見つけた。巻頭グラビアの「2007年写真回顧」の、野間文芸賞と野間新人賞、野間児童文芸賞の授賞式の写真である。 2007年の野間三賞は、野間文芸賞(第60回)が佐伯一麦…
このひと月ほど、コロナ禍の影響もあってそれ以前とは違う生活習慣になっているのだが、とにかく落ち着かない。睡眠に深刻ではないながら悪影響が出ているし、ブログの執筆も思い通りにいっていない。図書館の資料返却日も忘れてしまっていた。そして、先日…
野原広子の漫画『消えたママ友』(KADOKAWA、2020年)を読んだのだが、これはどうしたもんだろう…と複雑な気持ちになっている。ちなみに本作は『妻が口をきいてくれません』(集英社、2020年)と二作品で第25回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した。 漫画は複数…
ヤマザキマリ『仕事にしばられない生き方』(小学館新書、2018年)を読んでいて、考えさせられるところがあった。 ヤマザキの母親はヴィオラ奏者で、ヤマザキも3歳の時からピアノとヴァイオリンを習っていた。しかしヤマザキ自身は絵を描くことの方が好きで…
ヤマザキマリ『仕事にしばられない生き方』(小学館新書、2018年)を読んでいる。 私自身、そういう生き方をしたいなと思い、あれこれ考え情報を集めているが、その一環で手に取った本の一つである。ちなみに私は『テルマエ・ロマエ』を読んでいないが、『プ…
高島平図書館1階コミュニティスペースで9月12日から10月3日まで開催の「高島平×水路上観察入門 展」を見て来た。 「水路上」とは、蓋をされたかつて川や水路の上のことで、つまり「暗渠」のこと。その水路上を観察することで、見慣れた地元の風景もいつもと…
朝日新聞9月10日(金)朝刊の27面に、佐藤愛子がエッセイで「断筆宣言」をしたことに関する小さな記事が出ていた。 そのエッセイとは、『九十歳。何がめでたい』の続編で、今年8月に出た『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』。その最後で「断筆宣言」をしたと…
学生たちの間でそんな言葉が最近よく使われているようだ。 「ガチャ」とは、オンラインゲームで希望のアイテムを手に入れるための電子くじシステムのことだ。お店によく置いてあるガチャガチャが語源らしい。要するに、自分にとって親はガチャ、つまり選べな…
最近、シド・フィールドの『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(フィルムアート社、2009年)を読んでいる。第3章「登場人物(キャラクター)を創造する」の冒頭には、ヘンリー・ジェイムズ『小説の技法』からの引用が載っている。 事件を起…
「いっしょうこうなりてばんこつかる」と読む。一人が功績を上げる陰では多くの人が犠牲になっている、という意味。本多信一『内向型人間の仕事にはコツがある』(大和出版、1997年)の中にあり、初めて知った。ただし同書には「一将成って万骨枯る」とある…
最近は、諸事情により夜に散歩することが増えた。散歩は朝昼によくしていたが、夜にもするようになったのだ。 近所に都立公園があるので、よくそこに杖をひいている。昼間とはぜんぜん雰囲気が違う。ジョガーは相変わらず一定量いるのだが、若者の群れが多い…
シド・フィールド『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(安藤紘平、加藤正人、小林美也子、山本俊亮訳、フィルムアート社、2009年)はタイトルの通り、映画脚本を書く人がするべき仕事について述べた本。 この本でフィールドは、脚本を書くた…
忌野清志郎『ロックで独立する方法』が面白い。というか、色んな点で有益なアドバイス集という感じがして、とてもありがたく思う。 本書はロックミュージシャンが「独立すること」について、忌野清志郎が実体験から得た教訓を、端的ながら明確で強い口調で語…
中国の昔話「チワンのにしき」を、恐らく約三十年ぶりに再読した。 別のある本を読んでいて、カタカナの「ロ」が強調されている箇所を読んだ時、そういえば昔、ロロとかロモとかロトエオとかいう人物が登場する話を読んだなぁと、記憶が蘇ってきたのである。…
何らかの悩みが頭を覆っている時は、それが正解かどうか分からなくても、とにかく自分なりの答えを出し、実際の行動に移すことが大切だと思う。 ある経営者がYouTubeで、人間はやることが明確になっている時は悩みに苦しむことはない、と言っていた。その通…
先日も書いた忌野清志郎『ロックで独立する方法』(新潮文庫、2019年)は、すらすら読めて得るものも多い本なので、とてもいい。 これは言わば、「ミュージシャンワナビ」からミュージシャンとしてデビューを果たした人まで、広く音楽をやって生きていこうと…
この言葉は「棺桶のリスト」という意味で、より良い人生を送るために記す、死ぬまでにやりたいことリストである。2007年のアメリカ映画“THE BUCKET LIST”は、このリストを題材としたものだ。なお映画の日本での題名は『最高の人生の見つけ方』(公開は2008年…
忌野清志郎『ロックで独立する方法』(新潮文庫、2019年)を読んでいる。私は忌野清志郎の歌はテレビで少し聴いたことがあるくらいで、そもそもロックをほとんど聴かない。この本は、独立起業に関する情報を集める過程で出会い、面白そうだと思って手に取っ…