杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

マニアックな題材

ヤマザキマリ『仕事にしばられない生き方』(小学館新書、2018年)を読んでいる。

私自身、そういう生き方をしたいなと思い、あれこれ考え情報を集めているが、その一環で手に取った本の一つである。ちなみに私は『テルマエ・ロマエ』を読んでいないが、『プリニウス』は興味があるので読んでいる。

ヤマザキは1967年生まれなので私の一回り上である。十代でイタリア留学し、かなり色んな仕事を経験したらしい(まだ全部読んでいない)。ままならない日々の中で自分を見つめ直したい時は多少無茶をしてでも旅に出ていたそうで、好奇心は強いが繊細でもある人だと思った。HSS型HSPじゃないか。

「はじめに」には『テルマエ・ロマエ』がヒットした時のエピソードが紹介されている。『テルマエ・ロマエ』を最初にメジャー雑誌に見せた時、「ローマ人がタイムスリップして日本の風呂文化を学ぶなんて、あまりにも題材がマニアックすぎる」と没になったそうだ。たしか宮崎駿も、売れる前はその企画が「馬糞臭い」などと言われたと記憶している。しかしヤマザキも宮崎も、そういう企画が結果的にヒットしたのだから、まことに「成功はアートである」と思う。

ヒットの条件というと、これまでいろんな人がいろんな説を述べているが、「成功はアート」ということに尽きるんじゃないか。題材がマニアックということで失敗することもあれば成功することもあるんだろう。