2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧
以前、インタビュー用の質問項目を記した資料を忘れてしまったことがある。 取材先に着き、インタビューをする部屋に通されて、準備をするために資料を出そうと鞄を開けたら、ない。。。 資料を忘れてしまったことに気づいた時は啞然とした。普段から、出発…
このブログは、私がツイッターを始めたほぼ一年後に開設された。その間に、私の交友関係はいろいろと変転していて、とても感慨深い。 交友関係の変転とは、それまでけっこう親しくしていた人たちと袂を分かったことだ。しかしこの「袂を分かつ」は、表面的に…
もうずっと前のことになるが、ある人に、数週間休暇を取って、仕事をしない時間を過ごしてみてはどうか、と提案したことがある。その人は、そんなの冗談じゃない、といった様子で、実行を検討することなく私の案を却下してしまった。しかしもちろん私は本気…
三島由紀夫の『小説読本』(中央公論新社、2010年)に首を傾げる箇所があった。この本は小説に関する三島のさまざまな随筆を集めたもので、当該箇所は「小説とは何か」という、『波』に1968年から三島が自決する1970年まで連載されたエッセイの一部。 ドスト…
連載第6回。ついに最終回。 →「似顔絵師」(6)→「似顔絵師」(5)→「似顔絵師」(4)→「似顔絵師」(3)→「似顔絵師」(2)→「似顔絵師」(1)
宮原昭夫の『増補新版 書く人はここで躓く!』(河出書房新社、2016年)は、芥川賞作家である宮原が、ある程度小説を書くことができる人に向けて書いた、もう一歩上達するための小説指南書のような本である。いちおう書けるんだけど、どうも面白くならない、…
お台場の日本科学未来館で開催されている「デザインあ展」に行ってきた。NHK Eテレの番組は好きで、子供と一緒によく見ている。テレビでお馴染みのコンテンツが多数展開されており、面白かった。 中でも「全国名字かずくらべ」は、日本人の苗字を、数の多さ…
日本の映画界は人手不足が問題になっているのだそうだ。どの業界でもそういう話は聞くので、日本はあらゆる産業がどんどん縮小、劣化していっているのではないかと思えてくる。 助監督になる人もいなくなっているらしい。思えば私自身、映画学校を卒業する時…
BS1スペシャル「ボクらと少年ジャンプの50年」を見た。 懐かしい作品の作家たちと編集者たちがテレビに出てきただけでも興奮したのだが、彼らが色んな裏話を明かしてくれたのが楽しく、かつ発見もあった。 発見というより再発見だが、それは、編集者の役割が…
私の知っているあるライターが、インタビュイー(かなりの有名人)に関することをろくに調べもせずにインタビューしに行ってしまったらしい。 そのインタビュイーは出版界の人だったこともあり、ライターの準備不足をすぐに察知して、お前は俺のことをぜんぜ…
何か気になっていることがあると、それに関連する物事が起きた時にハッとする。いわゆる「ピンとくる」というやつだ。 私にとっては「毎日書くこと」が近ごろ特によく考えていることであり、今日は朝から「ピンとくる」ことが二つあった。 一つは、子供の夏…
連載第5回。 →「似顔絵師」(5)→「似顔絵師」(4)→「似顔絵師」(3)→「似顔絵師」(2)→「似顔絵師」(1)
会社からの帰宅の途中、セミが羽化している場面に遭遇したので撮影した。 セミの羽化を直接、間近に見たのは恐らく約30年ぶりである。前に見たのは、幼虫を入れた虫籠を自宅ベランダに置いておき、今か今かと夜まで待ってついに見たのだ。 私は昆虫が大好き…
ライターをやっているためか、日本語の誤用にはけっこう敏感なつもりだ。インタビュイーが意味を間違えて発言しただけなら、原稿の方で正確に書けば問題ない。ライターの原稿への赤字修正、ないしは差し替え原稿で誤用がある場合もあるが、そういう時でも、…
以前、スティーヴン・キングの『書くことについて』を引用して、毎日書くことの大切さに関する記事を書いた。 この三連休は、外せない大事な用事があって前半の二日間がほぼ終日それにかかりっきりだったのだが、そのために机に向かう時間が少なくなった。昨…
『鉄腕ゲッツ行状記 ある盗賊騎士の回想録』(藤川芳朗訳、白水社、2008年)は、中世末期のドイツに生きた小貴族であり騎士であるゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの自叙伝である。自筆でなく他人による聞き書きという説もある。 ゲッツは本名はゴットフリー…
以前、ある先輩ライターが、自分は後輩が出してきた原稿を二、三行読んだだけで差し戻し、書き直せと言った、と言っていた。どうやら、書き直さなくてはならない理由は伝えず、ただお前の文章はまったくなってないからもう一回書け、という意味のことを言っ…
先日、あるライターからこんな質問を受けた。 「良い文章ってなんですか?」 こういう問いは、20〜30歳代前半の若手の、経験の浅い、まだ物事を相対化できていない人がよくしてくる印象がある。 その時私は、「読みやすく、分かりやすい文章」と一応は答えた…
連載第4回。 →「似顔絵師」(4) →「似顔絵師」(3) →「似顔絵師」(2) →「似顔絵師」(1)
『ゴリオ爺さん』(高山鉄男訳、岩波文庫、1997年)は、フランスの小説家・バルザック(1799-1850)の代表作の一つである。 王政復古後のパリ(19世紀初頭)を舞台に、田舎出の青年・ラスティニャックが社交界へ出世してゆく過程と、老人・ゴリオが2人の娘に…
小説の新刊を久しぶりに買った。とはいえ文庫である。島本理生『夏の裁断』(文春文庫)。 小説はずっと読み続けているが新刊本を買ったのは本当に久しぶり。前に買ったのがいつかが思い出せないくらいである。たぶん、講談社百周年記念書き下ろしの島田雅彦…
昨日の続きになるが、佐伯一麦の「モノ」へのこだわりを窺わせる、というより「モノ」へのこだわりをダイナミックに語った記事を読んだので書いておく。 「文學界」1990年5月号の総力特集「新人作家33人の現在」である。これは当時、活躍を期待されていた若…
先日、このブログに佐伯一麦と島田雅彦の対談に関する記事をアップした。その際、「これからは、モノじゃなくてイメージを売るって言い方が流行った時代だよな。」と佐伯が言ったことを引いて、私の周囲でも今似たようなことが起きていると書いた。 「モノ売…
佐伯一麦は1983年、高校時代に書いた習作を直した「静かな熱」で「第27回かわさき文学賞」入選を果たした。選者には芥川賞作家の八木義德がいた。 二瓶浩明の佐伯年譜によると、佐伯はこの時期、上京後から携わっていた週刊誌ライターを辞め、さまざまな仕事…
阿部昭の対談集『短篇小説を語る』(福武書店、1987年)をぱらぱら読んでいたら、辻邦生との対談の中で、辻が小説を原稿用紙に写した、という話が出てきた。 志賀直哉の『剃刀』とか『網走まで』とか、ただ読んでいるだけじゃ、そこに表現されたものを身体で…
連載第3回。 →似顔絵師(3) →似顔絵師(2) →似顔絵師(1)
佐伯一麦について調べていたら、宮城県図書館だより「ことばのうみ」第2号(1999年7月発行)の表紙エッセイ「触読のすすめ」が見つかった。 http://www.library.pref.miyagi.jp/about/publication/kotobanoumi/kotoba-2.html#2 どこの図書館でも出しているよ…
私は都市郊外の団地で育ち、今も郊外の団地と浅からぬ縁がある。 昔住んでいた団地を地図で見たら、団地にほぼ隣接する形で物流センターがあるということに気づいた。そういえば、昔はあそこらへんにもよく行って遊んでいたなぁ、と思い出した。そして今も住…
時間があったので本郷図書館に行ってきた。 千駄木駅の出口がある団子坂下から歩いて5分足らずである。近くには文京区立森鷗外記念館があり、これは鷗外の「観潮楼」跡地に2012年にできた建物である。もともと「鷗外記念本郷図書館」といい、図書館機能も備…
佐伯一麦のデビュー作は1984年の「海燕」新人賞受賞作「木を接ぐ」だが、その前年の1983年、本名の佐伯亨による「静かな熱」という短篇が「第27回かわさき文学賞」に入選している。佐伯は、上京したての頃に川崎市に在住していたことがある。 「かわさき文学…