懐かしい作品の作家たちと編集者たちがテレビに出てきただけでも興奮したのだが、彼らが色んな裏話を明かしてくれたのが楽しく、かつ発見もあった。
発見というより再発見だが、それは、編集者の役割が絶大であることだ。例えば、「北斗の拳」は2話目を種もみの老人の話にしてその後の方向性を確立させたのだが、これは編集者が当初のストーリーを没にして直させたのである。この逸話は、すでに本などで紹介されているのかも知れないが、私は初めて知って驚いた。もちろん、今までは武論尊がああいう話を書いたと思っていたのである。
また、「キン肉マン」のゆでたまごは、ライバル視する作家の作品の情報を入手し、それに(人気投票で)負けないようにするため当該週の「キン肉マン」のストーリーを変更していたのだそうだ。
私たちが触れるコンテンツは、作家が出してきた作品がそのままそこにあるのではなく、編集者とのやり取りをはじめとしたさまざまなプロセスを経ている。
文藝作品の編集は、「ジャンプ」など少年マンガ誌のそれとは違うやり方で行われているのだろうが、小説家を研究する時、その作品が、編集者などが介在したことでいかに変わったかという視点を忘れないようにしたい。