杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

エッセイ

好きこそ物の変態なれ

ようつべで大原扁理『年収90万円でハッピーライフ』(ちくま文庫、2019年)を知り、さっそく読んでいるのだが、前半で強く共感する箇所があった。 英語は本当に好きだったから、家じゃテレビを副音声(英語)にして家族にウザがられ、イギリス人のAET(英語…

グリーンドームねったいかんリフレッシュオープン

4月20日、昨年から修繕工事のため休館していた「板橋区立熱帯環境植物館(グリーンドームねったいかん)」がリフレッシュオープンしたので、先日さっそく行ってきた。 東南アジアの熱帯雨林を再現し、地下にはミニ水族館もある面白い施設で、前からちょくち…

文学研究の盲点

朝日新聞4月25日の文化欄(23面)に、小栗虫太郎が地方紙で連載していた長篇家庭小説「亜細亜の旗」についての記事があった。NHKでは3月2日に報じられていたようだ。 小栗虫太郎といえば『黒死館殺人事件』だが、澁澤龍彦編『暗黒のメルヘン』で「白蟻」とい…

読書飢餓

ここ数日は様々な義務に追われ、本を読む時間をほとんどつくれなかった。読書は私の知的・精神的な意味での生活の基礎であり、作品を書くことはもちろん、このブログの記事の源泉にもなっているから、ここ数日は言うなれば、栄養補給ができず、何を生産する…

ライターヲタ

ライターという仕事をしていてこんなことを考えるのはよくないかも知れないが、どうも共感できない、相容れないと思う人に「ライターヲタ」がいる。その人たちは、取材対象やその歴史的背景を知ること、事実の追求に熱心であるというより、ライターの業務そ…

コンパス

かねて、小説を書くことを旅することに例えたら、ストーリーの構成図は地図で、主題はコンパスだと思っている。地図とコンパス、すなわちストーリーと主題がちゃんと頭に入っていれば、筆を進めていて迷うところが出てきても間違いない行路を選ぶことができ…

せどり雑感

「せどり」に興味があったので「新潮45」2015年6月号所収の坪内祐三「高原書店からブックオフへ、または『せどり』の変容」を読んだ。 内容は坪内自身の古書店遍歴が中心になっており、「せどり」について本格的に述べたものにはなっていないように思う。本…

こまっしゃくれる

子供が、変に大人ぶって振る舞う生意気な言動を形容する表現である。「こま」は「細かい」の意味で、「しゃくれる」は、利口ぶるといった意味の平安時代の言葉「さくじる」が転じた「さくれる」が、さらに転じたもの。「さくじる」は「賢しら」と同源らしい…

つまらん作品を最後まで読むか

読んでいる本がとにかくつまらない、ということがある。しかし、まだ半分も読み進んでおらず、このあと楽しく可能性が残されているので読む、ということもあるだろう。研究書とか歴史書とかビジネス本ではなく、小説である。 ある人は、本はたとえ序盤でも表…

モデル思考

生活や仕事などの中で起こる問題を解決しようとする時、たまに「モデル思考」を使っている。これはけっこう効果があると考えている。 例えば、会社の中で起きる問題を考える時、会社を一隻の船として考えてみる。会社という組織は、人が集まって事業をして、…

ドーパミンとオキシトシン

Twitterに「ドーパミン的愛情」と「オキシトシン的愛情」の区別を記した表が載っていて面白かった。 ドーパミンは熱愛や情熱的な愛で高揚感や興奮を伴い、もっと会いたい愛されたいと願い、依存症になりやすく、二、三年で冷めやすいのに対し、オキシトシン…

「コミットしきれない」

或る、脱サラした人のインタビューが新聞に載っていた。その人は会社でシステムエンジニアをやりつつ副業で家具づくりをしていて、そちらが好調だったこともあり、思い切って会社を辞めて家具職人になった。エンジニアの仕事を続けつつウーバーイーツなども…

作家の経済的自立

ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』(朝日文庫、1996年)の第十三章「書いたものをどう売るか」は、作家と出版社や編集者、お金などについて、読者からの質問への回答という形で記されている。 質問の二つ目と回答の冒頭。 (2)経済的に自…

森稔『ヒルズ 挑戦する都市』

森稔『ヒルズ 挑戦する都市』(朝日新書、2009年)を読んだ。 アークヒルズ、六本木ヒルズ、上海環球金融中心を中心に、森の都市づくりの取り組みや思想を綴ったもの。 面白かった。どんな街づくりも、数多の地権者や行政関係者が関わり、プロジェクト進行は…

寺山修司の短歌

寺山修司の短歌はおおむね好きである。しかし、 麻薬中毒重婚浮浪不法所持サイコロ賭博われのブルース この歌は、正直に言うと以前はしびれるものがあったが、今はそうでもない。 好きだったのは学生時代を含む二十代であり、その時代、私はワナビの痛さの中…

「変える」と「変わる」

他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる。 ようつべでビジネス系動画では、よく言われていると思う。私も四十路に到達してようやくそのことを理解してきて(幼稚なのです)、知人や仲間に対しては以前からだったが、親類縁者に対しても強要した…

「与えよ、さらば与えられん」

新約聖書の言葉らしいが、知らなかった。自分が他人から何かを与えてもらいたいなら、まずは自分から他人に与えよ、といった意味らしく、ビジネスの世界でも使われているようだ。「求めよ、さらば与えられん」などとも言うらしいが、どちらかが間違いなのか…

作家の収入

「本の雑誌」2020年1月号の鈴木輝一郎「生き残れ!燃える作家年代記」は、⑨お金編「収入が低いことより固定収入がないことが恐怖なんでござる」でござる。 内容はタイトルの通り、作家の収入について書いたもの。私は、印税は不労所得だと思っていたが、「初…

「自己再認識」小説

ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』(朝日文庫、1996年)の第八章「登場人物にいかにもありえそうな動機を与える」は、文字通り小説における主人公の行動の発端となる七つの動機付けについて述べたものだが、その一つに、ドキリとさせられた…

小説家と銀行員

先日、鹿島茂『パリの王様たち』(文春文庫、1998年)を読み返す機会があって、こんな箇所に目が留まった。 小説家は銀行員のように仕事しなければならないといったのは三島由紀夫だが、バルザックは、この時期に、たんに文筆で金を稼ぐということだけではな…

欲望の優先順位

バビロンの大富豪の教えに「欲望に優先順位をつけよ」というのがある。やりたいことは絞らずに何でもやってしまおう、という人がいて、その通りだと思うのだが、実際にやっていく上では優先順位はついている方が良いと思う。 私は気が多い方で、あれもこれも…

フリーペーパーの世界

佐伯琴子『狂歌』(日本経済新聞出版社、2019年)を読んでいる。これは第十回日経小説大賞受賞作(2018年)で、著者の佐伯は第八回、第九回にも同賞の最終候補となった。 まだ全部読んでいないのだが、ストーリーは愛憎劇のよう。特に興味深いのは、作品の主…

事実は小説より奇なり

『ヒルズ 挑戦する都市』(朝日新書、2009年)著者の森稔は、もともと小説家志望で、不動産の世界に入った当初は小説のネタ集めくらいのつもりでいた。しかし、次第に開発の仕事にのめり込んでいくことになる。 赤坂のアークヒルズの開発の頃については、こ…

こんな人間もいるんだぞ。

小説は、天下国家を論じる大説の対義語であり、巷間の噂話、小さなお話といった意味を持つ。話である以上、人間たちの間に起きる出来事を通して、人間同士の関係が変化する、といったまとまりのある内容であることが肝要だと私は考えている。一人で漠然と哲…

電子書籍端末雑感

こないだある電子書籍端末が値引きされていたので買おうかなと思ったが、けっきょく止めてしまった。 値引きはいずれまたあるだろうし、冷静に考えて、自分は電子書籍端末がどうしても必要だろうか?と思ってしまったのだ。 ようつべのビジネス系動画では、…

町田哲也『家族をさがす旅』

町田哲也『家族をさがす旅』(岩波書店、2019年)を読んだ。 これは、証券会社社員であり作家でもある町田が、緊急入院した父の事績を色んな関係者に取材して回る、という内容で、第一章から第四章までは「現代ビジネス」2018年2月1日から8月9日に連載され、…

命の宴の主菜

マシュー・ウォーカー『睡眠こそ最強の解決策である』(SBクリエイティブ、2018年)を読むと、睡眠を敵に回すとどういう目にあうかが分かる。最近、本書に従って睡眠習慣の改善を試みている。まだうまく行かないことも多いが、少しずつではあるものの良い方…

役不足の地獄

近頃、慢性的な役不足状態による地獄を感じる。何に対してそう感じるかというと…それは読者には関係ないので書かないが、役不足状態を長く続けるのは頭にも身体にも毒、ひいては鬱めいた状態や自己肯定感の低下といった地獄に陥ることにもつながるのではない…

「教材」としてのデフォー

高橋裕一「『教材』としてのダニエル・デフォー(1660ー1731年)―ジョナサン・スウィフト(1667ー1745年)との対比も含め―」(慶應義塾大学教職課程センター年報、2019年度)は、著者からいただいた。著者は慶應大教職課程センター非常勤講師で、法政大学大原…

書き続け、発信し続ける。

ようつべには作家活動をする素人、言わばワナビを応援する人による動画もあり、ちょくちょく見ている。その中に、今の時代は賞を取って商業デビューするだけが作家になる手段じゃない、1円でも稼げばもうプロ作家と言える、と言っている人がいて、そうか、そ…