杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

エッセイ

現物にあたる

前にもこのブログで書いたかも知れないが、ようつべのビジネス系動画などでは、ヒット本の紹介がよく行われている。そして、それを見たユーザーが、この動画は本の内容がとても分かりやすくまとめられている、といったことを書いているのをよく見かける。 し…

「めちゃくちゃ」の使い方

Twitterのタイムラインを見ていたら、あるツイートで手が止まった。 本を読んで、めちゃくちゃ面白い、といった感想を述べる人の「めちゃくちゃ」の意味が理解できない、というツイートである。 気になったのでこのブログで検索してみたら、めちゃくちゃ面白…

『文藝年鑑』渉猟

ある小説家のことを根掘り葉掘り調べている。いつか何らかの作品にまとめることになると思うが、今はその小説家の事績をなるべく多く集めているところで、『文藝年鑑』を渉猟中である。 これまでもその小説家の単行本、文庫の類いを読み、雑誌にのみ出ている…

『DEATH NOTE短編集』を読んだ。

大場つぐみ原作、小畑健作画の漫画『DEATH NOTE短編集』(集英社、2021年)を読んだ。『DEATH NOTE』のスピンオフで、夜神月以外の「キラ」が出てきて、それぞれあっけなく死ぬ。ほか、「L」の過去や一日の過ごし方、「ジャンプ」に2003年に掲載された短篇も…

ドーパミン、オキシトシン、セロトニン

先日たまたま、樺沢紫苑『精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』(飛鳥新社、2021年)を紹介している動画をようつべで見た。 実際に読んでいないので確定的なことは言えないのだが、本書によると、ドーパミン、オキシトシン、セ…

ポオの描写力

エドガー・アラン・ポオの「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」(大西尹明訳『ポオ小説全集2』(創元推理文庫、1974年)所収)を読んでいる。 これはポオ唯一の長篇小説で、私は学生の頃にポール・ツヴァイク『冒険の文学』(中村保男訳…

ワナビに悲しむ暇はない。

私見だが、ワナビの多くは、学生時代にワナビを卒業して大人しく会社員になることなどできず、会社勤めをしながらワナビであり続けるのではないだろうか。もし学生時代にワナビを卒業できてしまったのだとしたら、その人の「ワナビ度」はその程度のものだっ…

休息と睡眠

知的作業をするには休息と睡眠を十分にとり、仕事に集中できるよう身辺をできるだけ簡素にすることが大切だと思う。 というのは、最近ようやく、調べ物と書き物の熱がふたたび上がってきた。それまで公私ともにけっこう慌ただしく、かといって休息もよくとれ…

板橋で開発されたステンレス製流し台

BSで再放送されたNHKの「プロジェクトX 妻に贈るダイニングキッチン」を観た。日本住宅公団による戦後の住宅供給の裏にあった「ダイニングキッチン」開発の挑戦を描いたもの。面白かった。番組ナレーションでは、公団の住宅計画部課長を務めた尚明(しょう・…

「人生の門出」

北村薫『六の宮の姫君』(創元推理文庫、1999年)を読んだ。 芥川龍之介の王朝物の短篇「六の宮の姫君」の成立事情を調査と推理で追究する内容で、いうなれば書物の世界の探検記である。面白かった。内容からして、文学の玄人向けの作品と言えるだろうが、女…

金融道

中居正広主演のテレビドラマ「ナニワ金融道」を全て観た。これは1996年に放送されたもので、主題歌はウルフルズの「借金大王」である。この歌、いい。 原作からドラマにするにあたり、けっこうアレンジが加えられたのはこのブログで前にも書いた。私は原作の…

『勝手にしやがれ』と『気狂いピエロ』

映画に血道を上げていた頃、ヌーヴェルヴァーグの作品もいくつか観た。 それは、私の実感では映画青年の宿命とも言うべきもので、もし若い人が脚本家や監督などのワナビになったら、「ヌーヴェルヴァーグ」の作品群は一度は通過しなくてはならない関門の一つ…

俳優になりたかった

ある人がブログで、自分が一瞬だが俳優になりたいと思っていたことを書いていた。それを読み、そういえば私も短いが俳優を目指していた頃があったなぁ、と思った。とはいえ「一瞬」ではなく、いちおうオーディションを受け、合格して舞台にも立ったのである…

書物の世界の探検

北村薫『六の宮の姫君』(創元推理文庫、1999年)は推理小説だが、書物の世界を探索して真実を追究するストーリーになっている。その過程は、言うなれば伝記的な文学研究の過程のように見え、面白いし参考にもなるのである。 私は文学研究の真似事をしていて…

人間と神の関係

本多信一さんの本で紹介されていたことから曽野綾子の『心に迫るパウロの言葉』(新潮文庫、1989年)を読み、さらにキリスト教に興味が出てきたので、曽野『[図解]いま聖書を学ぶ』(ワック、2011年)を読んでいる。 私は無宗教者だし、いわんやキリスト教…

谷崎潤一郎と異化と虚点

先日、谷崎潤一郎の『文章読本』(中公文庫、1996年改版初版)を読み返す機会があった。初読は、奥付の私自身によるメモを見ると2003年になっているので、もう二十年近くも前になる。 谷崎については一時期集中的に小説や研究書・評論の類いを読んだが、それ…

心を亡くす

「忙」の字はりっしんべんに「亡」と書くので、つまり「心」を「亡くす」という意味だと、過去に何度か聞いたことがある。要するに、あまりに忙しいと「心ここにあらず」の状態になってしまい物事に落ち着いて取り組むことができなくなり、その結果、同僚は…

板橋区立熱帯環境植物館「穀物展」

板橋区立熱帯環境植物館(グリーンドームねったいかん)で9月14日から10月3日まで開催した「穀物展」に行ってきた。 お米や小麦、雑穀などについて紹介するという展覧会。小規模かつ地味な展示だったが、穀物に関するクイズがあり、SDGsなどについても学べる…

内向人間

榎本博明『内向性だからうまくいく』(日本実業出版社、2002年)は、内向的な性格の人が自分を受け入れ、長所をうまく活かして生きていくための助言をする本。章ごとでテーマが分けられ、助言を述べる節が一つにつき2ページでまとめられており、読みやすい。…

会社勤めとライフワーク

ミニチュア写真家の田中達也が今朝、テレビに出ていた。食べ物や身近な道具を使って作品にするのだが、その発想と世界観が独特で、NHKの朝ドラ「ひよっこ」のオープニング映像が面白いなと思った。 田中さんは数年前に会社を辞め、ミニチュア写真家として生…

「ぬなは」

『六の宮の姫君』(創元推理文庫、1999年)は読むほどに主人公に共感してしまう小説だが、福島に旅行する中で出てくる「ぬなは」のエピソードも面白い。 「ぬなは」とは蓴菜(じゅんさい)のことで、主人公は『拾遺和歌集』に載っていた一首を「ぬなは」の語…

杉浦康平デザインのブックカバー

八重洲ブックセンターで9月18日から創業祭2021が開催されている。1978年に当時日本最大規模の「マンモス書店」としてオープンし、今年で43周年になったそうだ。 先日、八重洲の本店の近くに仕事で足を運んだので、店に寄り、文庫本を一冊買った。 だが、文庫…

「高島平文芸」2

昨年6月、このブログで板橋区高島平の同人誌「高島平文芸」のことを書いた。その時は本誌を未読で、まずは現物に当たりたいと書いたが、一年以上経ってようやく読むことができた。 日本近代文学館(本館)に所蔵されていた。もっとも全てではなく、あったの…

日本近代文学館に行った。

先日、駒場東大前で降車し日本近代文学館に行ってきた。コロナ禍の影響で長く来館サービスを休止していたが、9月20日より再開したので、さっそく行ってきたのである。 恥ずかしながら、初めての訪問である。2階で漱石『こころ』に関する企画展を開催していて…

寸暇

文化庁による令和2年度「国語に関する世論調査」の結果が24日に出た。 この調査結果で私がよく見るのは間違えやすい言葉に関するところである。今年は「がぜん」と「破天荒」の意味、「寸暇を惜しまず/寸暇を惜しんで」はどちらを使うか、などがあった。 「…

牛のように3

仕事もプライベートも、忙しい毎日。やりたいことが思うようにできず、焦燥に駆られていらいらし、俺はこんなことをやっていていいんだろうか、いっそのこと今の会社も生活もいったん終わらせて新しいことにチャレンジする方がいいのでは…といった考えが出て…

名字に関する記憶

「名は体を表す」というが、名字は出身地を表している(ことがある)。 私が住んでいた愛知のベッドタウンの団地には実家は九州という人が何人もいた。同じ小学校には椎葉、指宿、といった名字の人がいて、今振り返ると、その人の実家は九州にあったのだろう…

曼珠沙華

この季節、散歩をしているとよくヒガンバナ(曼珠沙華)を見かける。私がいつも記事を読んでいるブロガーが、最近の記事でヒガンバナの写真を載せていた。真っ赤な姿はちと毒々しく感じられるのだが、この花が咲いていると、秋だな、と思う。 余談だが、曼珠…

板橋区立郷土資料館のお月見飾り

9月18日から板橋区立郷土資料館の旧田中家住宅でお月見飾りが展示されているということで、見に行ってきた。旧暦の8月15日、9月13日の夜をそれぞれ十五夜、十三夜と呼び、今年は9月21日が旧暦の十五夜にあたるとのこと。 月見は、ススキやだんご、カキやクリ…

面白がったもん勝ち

ヤマザキマリ『仕事にしばられない生き方』(小学館新書、2018年)の第5章「仕事とお金にしばられない生き方」には、高価な家具や楽器をよく買っていたらしいヤマザキの母親のエピソードが紹介されている。 ヤマザキは高いお金を支払う母親を見て騙されてい…