杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

エッセイ

青木まりこ現象

発端は「本の雑誌」への投稿 図書館で見かけて手に取った、赤羽根拓弥監修『カラダのすべてを肛門は知っている』(カンゼン、2023年)。健康にはそれなりに気を使っているので、その一環で読んでみようと思ったのです。 興味のあるところだけ拾い読みしまし…

坂口博信と植松伸夫

良い「体育会系」 自宅の所蔵品整理をしていて、かつて買った「FINAL FANTASY Ⅵ」のサウンドトラックを捨てました。これは3枚組のCDですが、すでにCDプレイヤーは我が家にありませんし、3枚のうちの1枚を紛失していたためもう売ることもできず、単に捨てるこ…

ゲーム遍歴3 ゲームボーイ2

一日30分まで ゲームボーイを手に入れた経緯は前回書いた通りです。私の親は、ゲーム機を買うことを許してくれたとはいえ、依然として保守的で厳しかったこともあり(この「厳しい」という表現は、実はあまり適切とはいえない面もあります。ある意味では極め…

板橋区立郷土資料館 古民家年中行事 ヒナマツリ

いつものことながら、華やか 2月18日から板橋区立郷土資料館の古民家で年中行事「ヒナマツリ」を開催しています。4月2日まで。 このイベントのことは毎年のように当ブログで記事にしているので、背景などは詳しく書かないことにします。毎度のことながら、華…

ゲーム遍歴2 ゲームボーイ1

念願のゲーム機 「わが闘争」ならぬ「わが遊興」ということで、人生におけるゲームとの関わりを振り返る不定期連載「ゲーム遍歴」。第2回は任天堂の携帯ゲーム機ゲームボーイにまつわる思い出を書きます。 これが発売されたのは、Wikipediaを参照すると1989…

着眼大局着手小局

高い目標でなくとも… 以前ある経営者にインタビューをした際、その経営者が会社経営で重視している言葉として聞きました。 事を成そうとするなら、目標を高く持ち、それを達成するための小さな行動を日々着実に実行することが大切、という意味です。いい言葉…

大河内昭爾のすれ違い

滋味あるエッセイ集『落葉の坂道』 一昨日、このブログで記事にした日本文藝家協会編『ベスト・エッセイ2002 落葉の坂道』(光村図書、2002年)。佐伯一麦の「川の土手の光景」は味わいがありましたが、他にも拾い読みをしてみるかと思い、三浦哲郎「落葉の…

ドーパミンと稼ぐ力

人間、ドーパミンとはうまく付き合っていかなくてはならないと思います。お酒やギャンブル、恋愛など、ドーパミンが出る行為に対し中毒になりやすい人は、それによって心身の健康や人間関係を壊さないよう深く注意するべきでしょう。 しかし、ドーパミンが出…

自分の頭で考える。

かつては年長者といると落ち着いた 阿部浩一『きまじめでやさしい弱者のための「独立・起業」読本』(インプレス、2021年)を読みました。 「独立」「起業」というキーワードに興味があったため手に取った本でしたが、起業ノウハウについてはあまり触れられ…

我執

自己絶対視 「当店こだわりの味」などの表現はよく見かけますが、この「こだわり」という言葉の本来の意味には、肯定的なニュアンスは無いのだそうです。最近知りました。 細かいところにまで気を使う、という意味は、手元の辞書(学研)によると新しい言い…

津田彷徨『ネット小説家になろうクロニクル』

攻略本小説 津田彷徨『ネット小説家になろうクロニクル 1 立志編』(星海社、2016年)を読みました。 鈴木輝一郎先生がTwitterで、デビューしたいならこの小説に書いてあることくらいはしなきゃな、などと書いていたのを見たのがきっかけで手に取った一冊で…

アイドルワナビ

大切なのは、夢が破れた後 Eテレ「ねほりんぱほりん」。今シーズンも楽しく見ています。 2月3日の放送は「元K-POPアイドル練習生」で、日本人女性と韓国人男性が登場し、ブタの人形で放送されていました。 私は流行に疎く、K-POPについてもほぼ知りません。…

ひとり出版

原点回帰 宮後優子『ひとり出版入門』(よはく舎、2022年)を読みました。 内容は、タイトルの通り一人で出版事業を始め、継続していくことを目指している人に向けた入門的なノウハウを伝えるもの。著者は個人出版社・ギャラリー「Book&Design」を営む編集者…

読書珍事

三冊を同日に読了 もう長いこと読書人生を続けているので、それなりにいろんな体験をしています。笑ったり泣いたりといった読書体験もさまざまですが、本との出会いや別れといった「本との縁」についても、いろんな体験をしてきました。 しかし、今回は今ま…

漫画の名言

ようつべで一種の自己啓発系動画を見ていたら、ある人が、名言といえる台詞は漫画にもよく出てくるが、漫画であるというだけで一段下のように見られることがあるけれど、そんなことはない、と話していました。 その人が例に挙げていたのは『スラムダンク』の…

蔵書始末記番外篇 『第三の男』サウンドトラック

アントン・カラスの名曲 今回の蔵書始末記番外篇は、本ではありません。1949年の映画『第三の男』のサウンドトラック(1999年)です。 映画公開50周年の記念盤のようで、パッケージに函がついています。このサントラを買ったのは恐らく学生時代。もう二十年…

ゲーム遍歴1

ゲームを楽しむのは約二十年ぶり 最近はサンドボックス型ゲームの「マインクラフト」をよくやっています。目的を定め、それを達成するためにマインしたり、クラフトしたりする過程が楽しく、やり遂げるとそれなりの充実感があります。自分の拠点を構え、増改…

板橋区制施行90周年記念事業「いたばしの歴史展」

高島平図書館1階コミュニティスペースで1月17日から「板橋区制施行90周年記念事業『いたばしの歴史展』」が開催されています。 板橋区立公文書館の写真と高島平図書館の所蔵資料で、高島平地域を中心に区制の歴史を紹介しています。中身を写真とともに紹介し…

「新種の老人」

今後増えるはず 遠山正道『新種の老人 とーやまの思考と暮らし』(産業編集センター、2022年)を読みました。 本書は仕事の関係で手に取ったもので、著者の遠山さんについてはそれまで知りませんでした。「Soup Stock Tokyo」を開業した人、と聞いて実業家で…

お金のはなし17 不趨浮利

物事は長期で考える 「不趨浮利」は「ふすうふり」と読みます。住友電工のホームページに出ていた経営理念です。 「浮利」とは、正しくないやり方で得た利益のことで、平たく言えば「あぶく銭」です。「不趨」は「走らない・追いかけない」といった意味で、…

永井玲衣『水中の哲学者たち』

「人それぞれ」は言わない 永井玲衣『水中の哲学者たち』(晶文社、2021年)を読みました。 哲学的なテーマについて、数人がファシリテーターと語り合う「哲学対話」。本書は、哲学対話のファシリテーターをしている著者による哲学エッセイです。 私は哲学に…

小林哲朗『ドローン鳥瞰写真集 住宅街・団地・商店街』

能書きなし 小林哲朗『ドローン鳥瞰写真集 住宅街・団地・商店街』(玄光社、2017年)を読みました。 以前、同じ著者の『夜の絶景写真 工場夜景編』(インプレス、2016年)を読み、それが面白かったこともあり、本書も手に取りました。 余計な能書きは一切な…

荒昌史『ネイバーフッドデザイン』

街を考える 荒昌史『ネイバーフッドデザイン』(英治出版、2022年)を読みました。 近所(neighborhood)に住む者同士のゆるやかなつながりを育むことで、空き家や防災、教育や雇用など、日本の地域社会(主に都市部)が抱えるさまざまな課題を解決する力と…

篠山紀信『作家の仕事場』

面白い一冊 篠山紀信『作家の仕事場』(新潮社、1986年)を読みました。よくある作家と書斎の写真集で、「小説新潮」1979年新年号から1984年12月号まで連載した「日本の作家」シリーズを再構成したものです。背表紙を見ると、定価5,000円とあります。高価。 …

蔵書始末記番外篇 本棚

虎の威を借る狐 蔵書の大量処分の一環で、長年使った本棚を三台手放しました。三台も手放すことができたのは我ながら驚きで、処分量がそれだけ膨大だということの証左といえるでしょう。 蔵書とともに本棚のまた、私のちっぽけな自尊心を満足させるための物…

『バビロン大富豪の教え』

人間万事塞翁が馬 先日から読んでいたジョージ・S・クレイソン原作の漫画『バビロン大富豪の教え』(漫画:坂野旭、翻訳協力:斎藤慎子、文響社、2019年)を読了しました。 先日もこのブログに書きましたが、私が本書を手に取った目的は、本書の内容をお金に…

ギバーとテイカー

縁を切るべき人 美輪明宏さんが以前、「人に与えるようになると、力はどんどん湧いてくる」と、たしか『人生ノート』(パルコ、1998年)か『天声美語』(講談社、2000年)に書いていました。 最近、アダム・グラントというアメリカの心理学者が書いた『GIVE&…

蔵書始末記7 『ランボー詩集』

青春の思い出 処分することにした本の思い出を書く「蔵書始末記」。今回は『ランボー詩集』(堀口大學訳、新潮文庫、1960年改版)です。 本書を最初に読んだのは大学生の頃で、当時の私は藝術を通して人生の真理を掴みたいという思いの強い、文学青年風のイ…

工場夜景

本業をやり、発信も続ける 小林哲朗『夜の絶景写真 工場夜景編』(インプレス、2016年)を読みました。元々、巨大建造物には異様な魅力を感じていて、鉄塔とか橋とか、引き込まれますし、工場も好きでした。東海道新幹線の線路沿いに建つ工場はいつ見ても壮…

人生と生活の「二大悪」

時間術の基本 先日からじっくり読んでいます。築山節『脳から変えるダメな自分』(NHK出版、2009年)。築山先生が、脳神経外科医として外来で患者から受けた相談を元に、問題の捉え方と解決の仕方について述べた本です。実際に起きている問題を元に話してい…