杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

モノかイメージか。

先日、このブログに佐伯一麦島田雅彦の対談に関する記事をアップした。その際、「これからは、モノじゃなくてイメージを売るって言い方が流行った時代だよな。」と佐伯が言ったことを引いて、私の周囲でも今似たようなことが起きていると書いた。

「モノ売り」ではなく「コト売り」の時代になった、という話は本当に最近よく耳にする。しかし、そんなのは前から言われていることで今に始まったことではない気がするのだ。

イラストレーターやライターといったクリエイターの仕事は、どちらかというと売るための「モノ」を作ることだと思う。「コト」を売るのは、プロデューサーや営業マンの仕事、といった印象がある。営業マンは「自分を売り込む」などと言うが、それって扱う商品ではなく自分と仕事をする、という「コト」を売っているではないだろうか。

私の映画学校の同級生は、けっきょく最後に生き残るのは創り手だ、というようなことを言っていた。いつだったか、仕事の関係で農家の人と関わった時、農家の人って本当にたくましいよねと私の上司が言ったら、その方が、けっきょく私らは食べ物を作っているから金とかなくたってやっていけるからねぇ、みたいに言ったそうだ。

佐伯は、私が引いた言葉の後にこんなことを言っている。

モノよりイメージを売る時代に、自分はあえてモノを書きたい、作りたいというのが出発点だった。