杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

好きな「最近読んだ本」10選

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」に答えます。

月並みですが、◯◯は「最近読んだ本」にします。「これまでに読んだ本」だとあまりに多くなり選べなくなってしまいますので、「最近」にしました。

1 エドガー・アラン・ポオ『ポオ小説全集2』

本書に収録されている「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」(大西尹明訳)を読みました。内容は、アメリカのナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムを主人公とした海洋冒険譚です。冒険譚とはいいながら、内容は怪奇と幻想で彩られた、異常で不気味な船旅の話になっています。特に後半は非現実の世界に入っていきますが、精細かつ分厚い描写を持続するポオの筆力ゆえに、その異常な世界が強いリアリティをもって読者に迫ってきます。

2 北村薫『六の宮の姫君』

北村薫お得意の「日常の謎」ミステリーの「円紫さんと私」シリーズの一作。卒論に臨む「私」が、芥川龍之介の短篇「六の宮の姫君」の成立事情を巡り浩瀚な書物の世界を推理で探検するという内容です。円紫さんも途中で出てきて、「私」にアドバイスをしてくれます。本の世界を旅するという、やや玄人の読書家の生活が伝わってきます。

3 曽野綾子『心に迫るパウロの言葉』

現代職業研究所所長の本多信一さんが、著書の中で触れていた本。タイトルの通り、パウロの残された言葉について説いていく内容です。不眠症に苦しんだ時期があった曽野の言葉もまた、心に迫るものがあります。

4 本多信一『内向型人間の仕事にはコツがある』

上記の曽野の著書に触れていた本。この本の「内向型人間」は、今でいうなら恐らく「繊細さん」(HSS型を含むHSP)であると思われます。そういう気質を持った人が、組織あるいは個人で、いかにたくましく生きていくかを説く本です。ためになります。

5 佐伯一麦『雛の棲家』

本書所収の短篇「転居記」を読みました。これは著者の佐伯一麦が自らの体験を元に書いた私小説です。主人公は二十代の青年なので、つまり、この小説は佐伯自身の二十代の頃の体験を元に書かれています。都心に住む主人公の妻が性的な嫌がらせをするイタズラ電話に苦しみ、家族のトラブルなどもあって、郊外に引っ越すまでを描いています。佐伯の二十代、三十代の頃の私小説はどれも、女との濃密な関係や生活苦が露骨に描かれていて、読み応えがあります。

6 バルザック『あら皮』

19世紀のフランスの小説家バルザックの代表作の一つの長篇。実はまだ読み終わっていませんが、読みでのある、面白い小説なので選びました。人生に絶望して自殺しようと思った青年が、決行する前に立ち寄った骨董屋で不気味な店主から「あら皮」を貰う。これは、持ち主の願いを何でもかなえるが、そのたびにどんどん縮んでいく、という魔法の皮です。そんなの皮を主人公の青年・ラファエルは、さっそく自らの欲望を実行していきます。バルザックお得意の重厚な描写が味わえます。

7 青木雄二ナニワ金融道

ナニワのネオ・マルキスト青木雄二による金融漫画。前にも読みましたが、再読しました。「お金」というものが潤滑油となり、欲望渦巻く人間たちがうごめく社会がうまく回転していることが、よく分かります。

8 大場つぐみ小畑健DEATH NOTE短編集』

名作『DEATH NOTE』のスピンオフ集。デスノートの応用的な使い方や、探偵「L」の生い立ちや生活なども描かれた面白い短篇集です。

9 ヤマザキマリ『仕事にしばられない生き方』

私は「テルマエ・ロマエ」すら読んでいませんが、あるブログで、独立起業の心構えを教えてくれる本として本書が紹介されていました。面白そうだったので手に取りましたが、著者の仕事やお金に対する考え方には共感するところがいくつもありました。

10 忌野清志郎『ロックで独立する方法』

ロック歌手の忌野清志郎が、ロックミュージシャンとして生きる「覚悟」を説いた本。いかに作品を生み出し続けるか、レコード会社やファンとの関わり方、など広範囲にわたって書かれています。コンテンツを創って生きていこうと思っている人にはためになる内容だと思います。

昨日も書きましたが、何かを一度に10あげるのは、簡単ではありませんね。明日も10周年特別お題やります。