杉本純のブログ

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登場人物と事件

最近、シド・フィールドの『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(フィルムアート社、2009年)を読んでいる。第3章「登場人物(キャラクター)を創造する」の冒頭には、ヘンリー・ジェイムズ『小説の技法』からの引用が載っている。

事件を起こさずして何が登場人物(キャラクター)たるか? 登場人物(キャラクター)の輝きなくして何が事件たるか?

上記を読んで私は、宮原昭夫の『書く人はここで躓く!』(河出書房新社、2016年)に書いてあった「苦悩が人物を魅力的にするのではなくて、人物の魅力が苦悩を魅力的にするのだ」を思い出した。

平々凡々たる魅力のない人物に苦悩を与えても、それだけでは魅力的にはならない。つまり、ゲームを作るような感覚で、人物に単に大きな苦難を課したとしても、それでは話は面白くならない、ということだと思う。

苦難=事件がまずあるのではなく、まず魅力ある人物がいて、それが事件を惹き起こし、それによって人物の魅力がさらに輝く、ということか。

フィールドは『映画のために…』で、ジェイムズは、人物のために設定した事件が人物の基本的性格を浮き彫りにすると書いている、と述べている。

作者は、その人物ゆえに必然的に起きるような事件を、作為によってつくるということだ。