杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

覚悟があるかどうか。

忌野清志郎『ロックで独立する方法』(新潮文庫、2019年)を読んでいる。私は忌野清志郎の歌はテレビで少し聴いたことがあるくらいで、そもそもロックをほとんど聴かない。この本は、独立起業に関する情報を集める過程で出会い、面白そうだと思って手に取った。

読んでみると面白い。まだ全部読んでいないが、これは「方法」というより「姿勢」「気構え」「精神」といったものに近い気がする。ロックミュージシャンとして生きていく「覚悟」を強く説いているようなところがあり、たしかにその通りだと思いながらも、「成功者は語る」に見えてしまうところもある。

が、売れない間にフリーターをやるかどうか、いかに新しいものを出し、売るか、マネージャーなど業界人との距離の取り方をどうするか、といったことへの考えは、読んでいるとなるほど「独立」というのは「方法」というより「姿勢」なんだな、と気づく。タイトルには「方法」とあるが、要するに一番大切なのは、一人のミュージシャンとして生きていく覚悟があるかどうか、なのだ。

「個性的」であろうとすればするほど「没個性的」な似たり寄ったりのものになってしまう……といった逆説は、よくあることだ。

小手先の技ではない。覚悟があるかどうか。独立しようとする者への重要なメッセージだと思う。まぁもちろん、覚悟だけでは駄目なんだろうけど。。