杉本純のブログ

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個性も一つの型

三田紀房『個性を捨てろ!型にはまれ!』(大和書房、2006年)を読んでいます。内容はタイトルの通り、成功したいなら自分の個性など捨て、型にはまりなさい、というもの。三田先生が『ドラゴン桜』の作者であることを思うと、なるほどと思えるタイトルですね。

個性と型。私自身、心得ているつもりではありますが、いつも実践できているかというと、不安な時もあります。

もうかなり前、新聞の全面広告で十八代中村勘三郎の格言が引用されていました。たしか「型があるから型破りなのであって、型がないのは形無しってんです」などと書かれていたはずです。どんな会社の広告だったかは、もう覚えていませんが、なるほど面白い、その通りだと思いました。本書にも、同様の意味のことが書いてあります。

松岡正剛は「守破離」について、「守って型に着き、破って型へ出て、離れて型を生む」と書いていました。いかにも松岡さんらしい、深遠そうでよく意味が分からない言葉ですが、型を破った先にある個性的な自己流も一つの型なのだ、ということでしょうか。

三田先生はべつのところで、面白い漫画はだいたい「対立と和解」が描かれていると言っていました(本書にも書いてあります)。売れ筋の一つの型だということでしょう。