杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

神は細部に宿る

細部へのこだわり

先日もこのブログに書いた堀田孝治『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』(技術評論社、2021年)。会社で働くことが向いていない「会社は無理ゲー」な人に、独立のメリットや覚悟を説く本です。

読んで思ったのは、この本の想定読者である「会社は無理ゲー」な人とは、恐らくHSPに近いのではないかということです。著者の堀田は、「打たれ弱くて繊細なところ」を自身の特徴とし、それゆえに会社ではうまくいかず、逆に独立してうまくいった、ということを書いています。HSPはHighly Sensitive Personで、これを「繊細さん」と呼ぶ人もいます。堀田の特徴は、HSPのそれと重なっているのではないかと思いました。

最終章であるCHAPTER 6「メンタルを整えて、幸せになる」は、他のビジネス書にもしばしば出てくる内容でありながら、やはり頷くところが多かったです。

私が20年以上通っている美容師さんも、私が信頼している歯医者さんも、「えっ、そこまでやるの!」というくらい、細部にこだわり、納得いくまで決して妥協はしません。「神は細部に宿る」と多くのプロは言いますが、逆に言えば、細部が気にならない人はプロにはなれないのです。

つまり、自分がどうしても細部にこだわってしまう物事があるなら、そこにはプロとして独立できる可能性があると言えるかもしれません。

本書は他にも、例えば「売上に不安になったら、高いところに行ってみる」という見出しがあります。私は、人間は視野狭窄になることで不安になると思っているので、我が意を得たり、という感じでした。さらに堀田が、会社員を大型船に乗っている人に例えているところがありますが、会社は一種の船だと私は思っているので、ここもまたウンウン頷きました。