デカルトが『方法序説』でそんなことを述べているらしい。『方法序説』は岩波文庫を持っているが読んでおらず、他人がそう言っているのを聞いた。またブルーノ・ムナーリ『モノからモノが生まれる』(みすず書房、2007年)の冒頭で、『方法序説』の該当箇所と思われる文章が引用されている。
その通りだと思う。例えば平泳ぎが上手くできないなら、闇雲に手足を動かしたりするのではなく、手の動かし方、キックのやり方、息継ぎの仕方などをそれぞれ練習して覚えていく方が早いと思う。
複数の困難を同時に解決しようとすると、問題が渾然一体として摑みどころがないものになってしまう。たいていの問題は細かく分割して個別に解決すればうまくいくはずだが、一緒くたに考えてしまうと、解決策など見つけることはできない。
例えば「会社が嫌だ」と思う時、仕事内容はどうか、人間関係はどうなのか、給料はどうなのか、などと分けて考え、問題の核心を見極めて、個別に対処していくのが良いだろう。給料が不満なら辞めて転職するのが良いかもしれないが、仕事内容と人間関係が問題なら異動で解決できるかもしれない。あるいは給料の問題でも、得意な業務ができる部門に異動させてもらい、そこで成果を出して認めてもらう、という手もある(ただし転職より手間がかかったりすることがある)。辞めずに問題を解決する方法が見つかることもあるのだから、頑張って困難を分割するべきである。