泉正人『人生に迷わないためのお金の地図』(新潮文庫、2012年)を読んだ。初めて訪れた土地で動くために地図が必要なように、特に先の見えない不透明なこの時代、人生という旅にも現在地(収入や支出)と目的地(将来の目標)を示す地図があれば、ちゃんと進んでいくことができる、という考え方に基づいて書かれた本。著者の泉正人はファイナンシャルアカデミーの代表。
中身は、お金の素人の私でもごく基本的だと思うほど基本的なことが書かれている。お金に対する癖や使い方、生命保険やクレジットカードへの意識の持ち方が説かれ、お金の貯め方についても説明されている。
「お金の地図」とは、具体的には家計簿と財産表(バランスシート)を指し、これを作ることで自分の現在地が分かるという。次いで、自分が将来実現したいお金の未来図を描き、そこへ向かって進み続けるための取り組み方について書かれている。
いずれもごく基本的なことで、私だってこれくらいやっていたぞと思ったが、文章で読んでみると自分の中で体系化されるように感じられるので、いい。ただし、ちょっと上っ面をなぞっただけのようにも感じた。
最終章の見出しの一つには「自分の身を守るのは自分の知性でしかない」とある。同意。
お金の使い方には人柄が現れると聞いたことがある。破産してしまう人間というのは、理性ではどうしようもない情熱や癖を持ってしまっている人だと思うが、情熱とかロマンとかこだわりとかが人生の味を生むとも思う。難しいもんだ。