杉本純のブログ

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社内報に潜む事実

朝日新聞生活面の「at work」は、様々な仕事の現場を紹介する記事である。2019年12月16日(月)からは「図書館」シリーズが始まり、初回は「調査支援」の仕事を紹介している(24面)。

クローズアップされているのは調布市立図書館で、調布市が地元を「映画のまち」としてPRしている関係から、図書館でも関連資料の収集に力を入れてきた、とある。中には映画会社の社内報も所蔵されているそうで、おおそれは読みたい読みたい!と私は思ったが、利用カードは作れそうにない。。

私はある小説家の研究をしていて、その小説家の作品には映像化されたものがいくつかある。映像の種類は、映画はもちろん、テレビドラマやVシネマなど多彩である。映画は松竹制作だし、Vシネマ東映だから、それらの会社の社内報を見ることができれば、ややもすると関係者インタビューが載っていて、小説家が出ている可能性もなくはないだろう。むろん、社内報というのは社内向けの媒体だからその会社の社員が出ることが大半だと思う。特定の作品を取り上げた特集などが組まれれば、特別インタビューとして関係する著名人に登場してもらうこともあるかも知れない。

小説家を研究する過程では、関係者についてもとうぜん調べなくてはならない。そしてその小説家の作品が原作として映画化された場合、プロデューサーや監督は紛れもない関係者になる。映画会社にとって監督は社員ではないが、プロデューサーは社員である場合がある。とすると、映画会社の社内報は小説家研究の重要な資料になり得るだろう。出版社の社内報ともなれば重要性がさらに高くなるのは言うまでもない。

しかし、研究者が特定の企業の社内報を閲覧するのは容易ではない。けれども、そこには面白い事実が潜んでいる可能性はある。社史であれば社外の一般人でも閲覧することが可能だが、社内報ほど細かい情報は載っていないはずである。