杉本純のブログ

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俳優の自意識過剰

吉村公三郎が『映像の演出』(岩波新書、1979年)で俳優の自意識過剰について書いていて面白い。

俳優の自意識過剰とは、「演技をやりながら、いつも自分は今演技をやっている」という意識から離れられない状態、らしい。自身の感性や空想力が豊かでも、自意識過剰であるために演技が生きない俳優がいる、とのことである。

吉村は、俳優はある時期に急に巧くなると高峰秀子が言ったらしい、と書いていて、それはいきなり巧くなったのではなく、自意識過剰を払拭できたからに違いない、と書いている。

私は本書を映画とか演出とか演技の課題だけで捉えず、他分野の色んな事象に当てはめて考えて読んでいるのだが、この自意識過剰への指摘も、他の色んなことに言えるよなぁと感じる。