杉本純のブログ

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創作雑記25 実験精神

以前は傑作小説を書こうと意気込みすぎていたように思う。

最近、仕事などで色んな価値観の人と関わり、また仕事のプレッシャーにつぶされそうになっている人と話し、そして自分自身もプレッシャーがキツいなと思うことがあったりして、そんな風に思ったのだ。

小説を書き終えられない人の中には、途中まで書いたところで「これではつまらない」などと思い込み、抛り出してしまう人がいるという。完璧主義なのである。私も几帳面で完璧が好きな性格ということもあり、そういう風に途中で抛り出してしまったことが何度もあった。小説の立派な構想のみが頭の中に残り、肝心の作品はこの世に存在していない、という事態に何度も陥っている。『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の天童みたいなものである。

傑作を書こう、などと思うからいけない。傑作を書かないと人に認められない、とでも思っているわけだからけっきょく一つも書き上げられない。真面目に本気で取り組むことはもちろんだが、失敗を恐れない、むしろ書くのが一つの実験ででもあるかのように取り組むと良いのではないか。というのは、仕事を楽しんでいる人やいい仕事をしている人は、傑作などと気負わずに、「やってみよう」といった精神で取り組んでいるように見えるから。