杉本純のブログ

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堀田孝治『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』

「会社は無理ゲー」は切実な問題

堀田孝治『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』(技術評論社、2021年)を読みました。内容は、会社で働き続けることが難しい気質の持ち主を想定読者として、独立に際しどのような気構えと行動を取るべきかを説くもの。具体的な「方法」というよりは、考え方が紹介されている、どちらかというとエッセイのようなライトなタッチの本です。

CHAPTER 1は「「会社員には向かない人」の10の特徴」で、列挙されている10の項目にいくつ当てはまるかで、その読者は自分が会社員に向いているかどうかを測ることができるようになっています。項目は以下の通り。

●小さな失敗も気になって、しかもずっと引きずってしまう
●会社にいるだけで、なぜか緊張して疲れる
●「働いた分だけのお金をもらいたい」と思っている
●「自分がやった方が早い」と思ってしまう
●「根回しなんて……」とイライラする
●人間関係ではなく、仕事の中身で勝負したい
●完璧主義で、どんな仕事でも手が抜けない
●グレーが苦手で、白黒はっきりとさせてしまう
●「自分に合った仕事がしたい」と思っている
●「ジャニーさん」よりも「山P」になりたい

全て読んだ結果、私は……まあそれはどうでも良いことですが、これらの項目に当てはまる・当てはまらないによって会社員への向き不向きが分かるのは、どうやらそういう傾向がある、という程度に捉える方が良さそうです。

それにしても、「会社は無理ゲー」という言葉は、上記の10項目に当てはまる人にとってはけっこう切実なフレーズだと思います。しかし、それは往々にして共感を得られない。会社員として、それこそノビノビ働いて出世もしていく人にとって、「会社は無理ゲー」だと感じている人の気持ちは容易に想像できないのではないかと思います。

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Will、Can、Should

CHAPTER 2「仕事が創れれば、なんとかなる」の中に「なぜあなたなのか、「物語」を人は買う」という見出しがあります。そこに、村上春樹が小説家になる決意をした時のことが紹介されています。

 作家の村上春樹さんは、ジャズバーを経営していたある日、神宮球場で「ヤクルト×阪神戦」を芝生の上で観ていたその時に「小説家になろう!」という直観を得て、本当にそこからデビュー作の『風の歌を聴け』(講談社)を書き、小説家になったと『職業としての小説家』(スイッチパブリッシング、文庫版は新潮社)という本の中に書いていらっしゃいました。

なんだか、エピソードとして出来過ぎな気が…こんど『職業としての小説家』を読んでみようか。

さて、本書によると「独立=得意×好き×貢献」であるそうです。キャリアプランを考える上で用いられる、Will(やりたい)、Can(できる)、Should(求められている)という三つの軸に似ているなと思いました。