2021-02-11 つらい小説 エッセイ 柳美里『JR上野駅公園口』(河出文庫、2017年)を読んだ。全米図書賞翻訳文学部門受賞作。 天皇(現上皇)と同じ日に生まれた主人公が、経済成長のうねりに翻弄されるように生き、縁者が死に、上野公園でホームレスをしながら孤独と絶望を舐め、そして平成の世の片隅で死ぬ。行動から事態が展開するストーリーはなく、ひたすら、主人公のあまりに寂しく悲しい人生が描かれる。良い小説だとは思うが、読んでいて次第に辛くなる。