杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

電話魔

愛惜するべき存在

私は二十代の頃、酔っぱらうと知り合いに電話をかけまくり、ほとんど一方的に自分の気持ちを伝えていました。電話しまくる人のことを電話魔とか鬼電とか言うそうですが、私の場合は酔っぱらった時に限ってのことでした。

酒酔いに限らず、興奮すると電話をかけたくなる人というのは存在するようです。私が知る人の中には、面白い本を読んだ時に電話する人や、興味深いテレビ番組を見た時に電話してお前も見ろ、という人がいます。興奮は興奮でも、知的な興奮によって電話したくなるタイプですね。いずれも本人は、電話する相手にとって価値ある情報を届けているつもりになっているのです。それで、相手にとってその電話が迷惑かどうかを考える気持ちの余裕もないまま、勢いで電話してしまうのでしょう。

電話には相手の時間を一方的に奪ってしまう側面があります。だから、メールやSNSメッセンジャーアプリが普及したこの時代、大切な用事がない限り使う必要がないものと思っています。…そう思いますが、本やテレビに興奮して、思わず親しい人に電話してお前も見ろ!と言ってしまう人、憎めないですね。ICTによって人間の距離が遠くなった時代、むしろ愛惜するべき存在のように思います。