杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

エッセイ

メモリーツリー

研究や創作に応用できそう 三田紀房『ドラゴン桜』7巻(講談社、2005年)に、大量の情報を記憶し、忘れにくくするためのツールとして「メモリーツリー」が登場します。高校生たちは理科の勉強をするために与えられますが、それを主人公の桜木先生は応用し、…

アマゾン川

生命の源 サングマ・フランシス『アマゾン川』(ゆらしょうこ訳、徳間書店、2022年)を読みました。 アマゾン川の自然や歴史や文化を解説する本で、ロモロ・ディポリトによるカラフルなイラストが魅力的な一冊です。 サブタイトルに「生命の源」とありますが…

オンとオフ、ハイとロー

ローでもいいので進む 三田紀房『汗をかかずにトップを奪え!』(大和書房、2007年)に、ビジネスマンはよくオンとオフ、つまり仕事と休暇を切り分けて考えるが、そうではなく常に仕事モード、すなわちオンの状態にしておくべきだ、と述べる箇所があります。…

APDとLiD

聞こえているのに聞き取れない 漫画家・イラストレーターの「きょこ」著『マンガAPD/LiDって何!?』(合同出版、2022年)を読みました。 「聞こえているのに聞き取れない私たち」という表紙のキャッチフレーズに思い当たるところがあり、手に取りました。 AP…

日本刀の世界

日本の歴史と文化を物語る 刀剣春秋編集部監修『日本刀を嗜む』(ナツメ社、2016年)を読みました。タイトルの通り、日本刀を美術品として楽しめるようになることを目的とした本で、日本刀の各部の名称や歴史、入手・鑑賞・手入れの方法、文化に至るまで、そ…

内向型人間の生き方と働き方

具体的なステップとツール 堤ゆかり『もう内向型は組織で働かなくていい』(世界文化社、2020年)を読みました。著者は内向型コンサルタント・心理カウンセラーで、本書は、内向型の気質を持つ人に向けた、組織で働かなくてもいい道を案内するものです。 「…

北区中央図書館に行ってきた。

文学推しの図書館? 先日、用事があって北区中央図書館に行きました。埼京線十条駅で電車を降り、十数分かけて歩いて行きました。 赤レンガの外壁が特徴的ですが、この赤レンガは外壁だけでなく施設内にも見られます。1919年に建設された陸上自衛隊十条駐屯…

さまよう思考

マインドワンダリング Eテレ「きょうの健康」で「大人の発達障害」について解説していました。番組にはASDやADHD当事者が複数登場していましたが、彼らの言動や考えには共感するところがあり(自分も同じような言動をする)、他人事とは思えませんでした。 …

発達障害雑感

発達障害もグラデーション? 銀河『発達障害フリーランス』(翔泳社、2022年)を読みました。発達障害を抱え、会社勤めが難しい人にフリーランスになる生き方をすすめる本です。 ADHDとかASDなどのフレーズは、最近よく耳にするようになりました。また、そう…

お金のはなし15 お金と仲良くする

大切なのは心の余裕 学生時代からお金に困っていたこともあり、お金に関するさまざまな本や記事を読み、マネーリテラシー向上に努めています。 それで最近思うのは、お金が溜まらない人やお金に困っている人は、お金との仲があまりよろしくないのではないか…

働きバチの理論

環境の力は大きい よく働く優秀な働きバチ100匹を一つにまとめると、100匹全員がよく働く良い巣になるかと思いきや、一生懸命に働くのは25匹くらいで、約50匹はそこそこの力で働き、残りの25匹は怠けて働かなくなるのだそうです。会社などの組織にも同じよう…

PASSAGEに行ってきた

客は読書家 神保町に3月にオープンした噂の共同書店・PASSAGE by ALL REVIEWSに行ってきました。 多くの棚が並び、その一棚ずつに店主がいる風変わりな共同書店です。プロデュースは仏文学者の鹿島茂。 古書や珍書が多く、面白かったです。猪瀬直樹や原武史…

リセット願望

今、ここから変えるしかない 三田紀房『汗をかかずにトップを奪え!』(大和書房、2007年)を読みました。 マンガ『ドラゴン桜』作者による、ビジネスマンの心得指南書です。本には『ドラゴン桜』の主人公である桜木先生が冴えないビジネスマンに現実をビシ…

水心子正秀と門弟たち

大慶直胤と氷心子秀世 先日、久しぶりに板橋区立郷土資料館に行き、開催中の企画展「接収刀剣―板橋に集いし赤羽刀―」を見てきました。この企画展は郷土資料館の開館50周年記念の特別展で、私は始まってすぐに一度見に行きました。その感想はこのブログに書き…

エタる

肝が据わっていないから そんな言葉を最近知りました。 創作中の作品が完結せず終わり、永遠に未完のままになる、といった意味のようです。「永遠の」を意味する“eternal(エターナル)”からできた造語です。小説投稿サイトなど、創作者の集まる界隈で使われ…

心理的自叙伝5 おくのほそ道

かつては「おくのほそ道主義者」だった 久しぶりの心理的自叙伝です。 以前、このブログで「おくのほそ道主義」という記事を書きました。物事は何でも突き詰めればいくらでも深く掘り下げることができる、つまりどんなことにでも「おくのほそ道」はある。け…

高解像度人間

環境は慎重に選びたい HSPに関する本を断続的に読み続けています。私自身が恐らくHSPですので、HSP関連書は自身の生活を通じて実感することの確認と、少しでもストレスを減らして快適に暮らすヒントを得ることを目的に読んでいます。 エレイン・N・アーロン…

松本清張と鉄道

西村雄一郎の授業 NHKの「新日本風土記スペシャル『松本清張・鉄道の旅』」を見ました。私は風土記が好きで、大切だとも考えていて、この「新日本風土記」はよく見ています。松本清張をテーマにしたものは他にもあったはずですが、鉄道の旅を中心としたもの…

「整える習慣」

ストレスの9割は人間関係 小林弘幸『整える習慣』(日経ビジネス文庫、2021年)を読みました。 著者は順天堂大学医学部教授で、「自律神経」とうまく付き合うための行動術を108個紹介しています。行動術一つについて見開き2ページで紹介しており、筆致はごく…

『虫めづる姫ぎみ』

映像的であること 久しぶりに『虫めづる姫ぎみ』(ポプラ社、2003年)を読みました。文章は森山京、絵は村上豊の絵本です。 毛虫が好きで、お歯黒もせず自由に生きる姫が主人公の話で、『堤中納言物語』の有名な一篇です。「ナウシカ」のモデルの一つになっ…

ダウナー

周囲に甘えているだけ そんな言葉を最近知りました。常に暗い気分でいて、周囲の人の気分をも暗くしてしまう人のことです。気持ちが暗く沈んでいて周囲をも飲み込んでしまうということは、まるでブラックホールのようではないかと思います。 私の知人に、昔…

水族館×建築

日本は「水族館大国」 宮沢洋、Office Bunga『イラストで読む建築 日本の水族館 五十三次』(青幻舎、2022年)を読みました。 全国の水族館を紹介するのみならず、それらを建築的なポイントとともに伝える本です。日本は100館近い水族館を有し、それがなんと…

地域史と文学

情報の宝庫 調べ物のために手に取った『北区こぼれ話2』(北区立中央図書館、2019年)。これがかなり面白く、やっぱり郷土史というのは情報の宝庫だなぁという気がしています。 本書は、東京の北区立中央図書館・北区の部屋が発行している「北区の部屋だよ…

板橋区立熱帯環境植物館「魚のカラフル美術館」

珍しい水生生物たち 板橋区立熱帯環境植物館、通称「グリーンドームねったいかん」に行き、企画展「魚のカラフル美術館」を見ました。 タイトルの通り、カラフルな体をした魚やカニやエイを展示する企画展です。 グリーンドームねったいかんの企画展は長年に…

「恥ずべき崇高さ、偉大なる屈辱」

あらゆる藝術に言えること 近ごろそんな言葉を知ったのですが、面白い言い回しだなぁと思いました。 劇団四季について調べていて、創立者の浅利慶太が座右の銘としていた言葉だと知りました。元々は、フランスの俳優であり演出家でもあったルイ・ジューヴェ…

松本清張「西郷札」

結末のわからない小説 松本清張のデビュー作「西郷札」を久しぶりに読みました。 題名は「さいごうふだ」でなく「さいごうさつ」と読みます。知らない人が初見だと「さいごうふだ」と読んでしまいがちである(と私が勝手に思っている)ことは、小説の中で一…

関係の総和

あらゆる問題は人間関係の問題 長いですが、読み応えのある記事です。 性や結婚についての突っ込んだ話を、興味本位ではなく行っています。ウィル・スミスが「オープン・マリッジ」を実践しているのは初耳…というかそもそもオープン・マリッジという語そのも…

社会と世間

「空気」を感知できない Twitterに「同調圧力」について書かれたツイートがあり、そこには同調圧力は「世間」が作り出している、とありました。 「世間」は「社会」とは違う概念で、前者は自分に関係のある人だけの世界、後者は自分に関係ない人も住んでいる…

ギリギリFIRE

自分自身こそ資本 Eテレでついに今年も始まった「ねほりんぱほりん」。 10月14日のシーズン7第一回は「ギリギリFIRE」で、ある程度の資産を築いて早期リタイヤした男性ゲスト2名が出演しました。 FIREのことは以前から知っていましたが、ギリギリの生活を送…

換骨奪胎

盗作は良くないがパクりは良い 先日も書きましたが、今取り組んでいる小説は、一種の実験精神で書いています。割と有名な、別の作家の作品の構造を抜き出し、自身の創作に活用してみようと思っています。いわゆる換骨奪胎というやつで、うまくいくかどうかは…