杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

リセット願望

今、ここから変えるしかない

三田紀房『汗をかかずにトップを奪え!』(大和書房、2007年)を読みました。

マンガ『ドラゴン桜』作者による、ビジネスマンの心得指南書です。本には『ドラゴン桜』の主人公である桜木先生が冴えないビジネスマンに現実をビシッと指摘する様子を描いた導入マンガがあり、本文もまるで桜木先生が話しているかのようなぶっきらぼうな語り口です。

対象読者は二十代、三十代のようですが、私はそれには当てはまりませんが面白かったです。

その中に「リセット願望を捨てろ!」という節があります。入社して数年が経った人が、なんとなく行き詰まったという理由で「会社員生活をリセットしたい」と考え、転職や独立することを批判しています。

転職や独立による環境の変化なんて、せいぜい学校でいうクラス替え程度のもの。クラス替えした当初はそれなりに「新しい自分」を演じられるかもしれないが、やがて化けの皮がはげてくる。
 クラス替えしようと転校しようと、自分という人間がリセットされるわけではないのだ。

 こんな話を聞かされても、新しい環境に行けば、自分の「真の実力」が発揮できると思うやつもいるかもしれない。
 いまは会社がバカだから本来の実力を発揮できずにいるけど、いざそれなりの環境を与えられたら、とんでもない力を出せるはずだ、と。

安易に転職や独立を考えている人には耳の痛い言葉かもしれません。

かくいう私自身も、今の環境からドロップアウトすれば新しい自分になって新しい生活を始められるのではないか、と思ったことがあります。けれども、そんな風に思うことそのものに小さな違和感がありました。新しいことはべつにドロップアウトなどしなくても今すぐ始めることができるのに、あえてドロップアプトをしようとするのは結局は現実逃避なのではないかと。

一方で、HSP発達障害を持つ人のような組織に馴染みづらい性質がある人は、思い切って一人でやってみることが有効である気がします。ただし、HSP発達障害の人向けの本も、会社にいる時期から副業などをして、ある程度の成果が出てから独立することを勧めています。

リセットして新しい環境へ出て行っても、人生は変わらない。今、ここから変えていくしかないのです。