杉本純のブログ

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人生のデザイン

安易に辞めるべきではない

先日から拾い読みしている本多信一『会社を辞めて「成功した」50の生き方』(ぶんか社、2002年)。その「はじめに」に、次のような箇所がありました。

 自分の生きる人生は自分でデザインしなくてはならない。デザインがはっきり決まっていない勤め人男女は、辞表を出すのを待つべきだ。仕事上の苦痛にも今しばらく耐えてほしい。生きるためには何でもやってみる精神が必要だけれど、できれば目標にそった転職、独立をしてほしいと思う。

本書は元々、会社を「辞める」ことを念頭に置いて書かれていますが、本多さんとしては安易に辞めることはお勧めせず、そういう辞め方は良くないと釘を刺しているわけです。

「人生のデザイン」、言い換えると「人生設計(ライフデザイン)」については、過去にこのブログでビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス『LIFE DESIGN スタンフォード式 最高の人生設計』について書いたことがありました。その他にも、人生の羅針盤となる価値観のマップを作ろう、といったメッセージのビジネス動画をYouTube見たことがあります。その価値観マップは、言うなれば人生のデザインでしょう。

デザインは詳細でなくてもいい

これまで、勤めていた会社を辞めた人を何人も見てきました。本人たちの話を聞いた限りでは、人生のデザインを自分で作り、それに沿って進むゆえに退社という選択肢を取った人は恐らく半分もいなかったと思います。現状があまりにキツいのでもう無理、つまりバーンアウトのような形で泣く泣く逃げ去る、といったケースが多かったように感じます。それはいけないことではないと思いますが、きっと、逃げた先にまた同じような試練が待っているでしょう。

今や会社を辞めることは大したことではなくなっているかも知れませんが、環境を変える決断をするという時には、自分の現在地は今ここで、そこからどちらに行きたいと思っているのか、さらに五年とか十年先にはどうなっていたいのか、などをある程度は自覚しておく必要があるのではないか。それはつまり、人生の設計図を作るということ。設計図を作らないまま建設を進めても何もできあがらないように、人生もデザインなしに進めてはけっきょく何も実らないと思います。

ただし、そのデザインはそれほど詳細でなくてもいいのです。