杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

APDとLiD

聞こえているのに聞き取れない

漫画家・イラストレーターの「きょこ」著『マンガAPD/LiDって何!?』(合同出版、2022年)を読みました。

「聞こえているのに聞き取れない私たち」という表紙のキャッチフレーズに思い当たるところがあり、手に取りました。

APDは「聴覚情報処理障害」のことで、LiDとは「聞き取り困難」を指します。いずれも、耳がキャッチした音を、脳がうまく認知できない障害のことを指すそうです。難聴とは違い、音が聞こえることは間違いないのですが、その認知や記憶がうまくできず、当事者は社会生活に困難を生じます。この障害は世間にあまり認知されていないらしく、打つ手なく苦しんでいる人がいるそうです。

多人数での会話(会議)についていけなかったり、聞いたと思った数字が脳の中で消えてしまって記憶できなかったり…。実を言うと、私自身もそういうことが多分にあり、苦しい思いをしたことが多くあります。自分に集中力がないことがいけないんだ、と思って頑張ってみるのですが、うまくいかず、本書にもあるような「分かったような表情をする」「テキトーに相槌を打つ」といった形でやり過ごしたことは少なくありません。

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精神は深い洞窟

ストレス過多による著しい体調不良を経験したことなどを機に、ここ数年は脳や睡眠や運動に関する本を読みまくり、また自分の性質を知ろうと自己啓発書にも多数触れています。内向型人間やHSPを知り、自分がそうであることを認識したのも、ほぼ同じ流れの中でのことでした。

それと完全な地続きではありませんが、あるきっかけからASDADHDを知り、これは自分ではないかと思いました。HSPASDは類似していると思えるところがあり、もしかしたら両者には通底するものがあるのではないかと考えたりもしました。

そしてさらにAPDとLiDです。ここにも自分の性質と思われるものが見出されて、驚いています。もしかしたら、HSPASDADHD)とAPD/LiDは何らかの単一の障害に起因して発症しているのか、あるいは別の要因による別の症状なのか…。一方で、自身に見られるASDADHD)やAPD/LiDの特徴は、いわゆる当事者のそれほどには明瞭ではないようです。しかし障害にはグレーゾーンというエリアがあるそうで、障害者とはいえなくてもその性質を持つ人がいるらしい。自分はグレーゾーンなのかもしれないし、もしかしたら「あの人」も…。

とまあこのように、考え始めると疑問が疑問を呼び、それらが入り組んで複雑化しているように感じられます。専門家による検査を受ければ正確にわかるそうですが、専門家でも判断が難しい部分もあるそうです。人間の精神は深い洞窟のようなものなのかもしれないと感じています。