杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

日本刀の世界

日本の歴史と文化を物語る

刀剣春秋編集部監修『日本刀を嗜む』(ナツメ社、2016年)を読みました。タイトルの通り、日本刀を美術品として楽しめるようになることを目的とした本で、日本刀の各部の名称や歴史、入手・鑑賞・手入れの方法、文化に至るまで、それぞれ端的に紹介されています。

日本刀が出てくる小説を創作しており、そのための勉強として手に取りました。本書にも書いてありますが、日本刀の世界はかなり奥深いそうで、たとえ創作のためとはいえ必要以上に深入りをするつもりはありません。けれども、本書をざっと読んだだけでも、日本刀が奥深い世界であることが容易に想像できました。

日本刀は、作り手、産地をはじめ、どのような使われ方をしたか、また所有者の変遷など、一振りごとに歴史があります。刀身は物言わぬまま冷たく光っていますが、そこには無二の物語が秘められているわけです。私は書画骨董の世界には縁がないものの、見所がわかると面白い世界だということは、何となくわかります。日本刀の楽しみ方もまた、書画骨董的なものなのかもしれません。

余談ですが、日本神話にスサノオヤマタノオロチを討ったエピソードがあり、スサノオが携えていた剣が「天羽々斬(あまのはばきり)」であることが本書でも紹介されています。「天羽々斬」といえば『ONE PIECE』の光月おでんが持っていた刀です。また「虎徹」は「鬼徹」を思い浮かべさせ、「最上大業物」などの「業物(わざもの)」というランキングも『ONE PIECE』に出てきますね。

また私は子供の頃にスクウェアの「FINAL FANTASY」をよくやりました。ゲームには侍の武器として「天叢雲剣(あめのむらくも)」や「まさむね」などが出てきて、歴史で学ぶよりも先にその名を覚えたものです。そういう意味では、ゲームや漫画は、娯楽を通してではあるものの歴史や文化を伝える役割を担っていると言えるかもしれません。

日本刀を嗜む