杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「微差こそ大差」

とにかく経営者はよく言葉を知っている。こないだある経営者と話したが、その人が言っていたのが「微差こそ大差」である。故事成語なのか成句なのか、よく分からないが、そういう言葉が存在しているらしく、経営者から聞いたのが初めてだった。 一応、これで…

体のサイン

文字を見るとその時の自分の体調が分かる、という人がいて、私もだ!と思った。 私は大学時代から日記をつけ始め、何回か挫折したが、いま書いているのはもう9年ほど毎日欠かしていない。終業時間が不安定な仕事をしているので、日記をつける時間もけっこう…

その日の目標を、確実に。

スティーブン・キングが『書くことについて』(小学館文庫、2013年)で、 仕事場に入るときには、その日の目標を決めておいたほうがいい。肉体の鍛練と同じで、はじめのうちは目標を低く設定しておかないと、達成できなかったときに悔いが残る。 と述べてい…

過去と他人、自分と未来

自己啓発書の類いでよく言われているのが、過去と他人は変えられない、自分と未来は変えられる、ということ。ビジネス書やビジネス系ユーチューバーの動画などでも、自分のキャリアを考え築いていく上では他人の価値観に合わせ過ぎてはいけない、といったこ…

バルザック「シャベール大佐」

年末年始はバルザックの小説を読もうと思い、連休に入る前から何にしようと思案し、その結果、中篇「シャベール大佐」を読むことにした(大矢タカヤス訳、河出文庫、1995年)。年末から読み始め、とはいえけっこう忙しかったので数日後に読了した。 ナポレオ…

「づくし」と「ずくめ」

この二つの言葉が混同されて使われているのを、たまに見かける。多くは、「ずくめ」と言いたいのに「づくめ」とか「づくし」などと書いてしまっている。「異例づくめ」「異例づくし」など、である。いずれも間違いである。が、辞書には「づくめ」は許容され…

その船出は本気か

「男の船出を邪魔する理由がどこにある」とは、漫画「ONE PIECE」のセリフである。海賊ルフィが偉大なる航路(グランドライン)に入ろうとする時に海軍のスモーカーに捕らえられそうになり、革命家であり父である(と後に分かる)ドラゴンに助けられるが、な…

「当たるも八卦当たらぬも八卦」

最近そんな言葉に接して、ほぉ面白いなぁと感じた。 「八卦」という言葉は昔も聞いたことがあったが、占いなどに関する言葉ということ以外、特に何の認識も持っていなかった。が、最近は「ONE PIECE」のカイドウの「雷鳴八卦」が記憶に新しいので、「ONE PIE…

創作雑記24 情熱は持続するか

着想はするけれど、構想を固めるまでに至らず、けっきょく雲散霧消するごとく消えていった小説の企画は、少なくない。いや、消えてはいないけれど、古い創作ノートのどこかにメモが残っているだけでほとんど忘れてしまったような小説が、けっこうあるのであ…

映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』を観た。

麻生久美子・安田章大主演、吉田恵輔監督の映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013年)を観た。私はこの映画の存在すら知らなかったのだが、ある人がTwitterで、ワナビの痛さを笑い飛ばした稀有な作品、と書いていたので、興味が湧いて観たのである。 麻…

男子一度門を出ずれば…

昨年NHKで放送された「三島由紀夫 50年目の“青年論”」を先日ようやく見た。三島由紀夫の肉体的コンプレックスや青年への思いを軸にした、インタビュー集のようなドキュメンタリー。美輪明宏さんなど、往時の三島を知る関係者が皆高齢になり、ここら辺で話を…

Vシネマ『F.ヘルス嬢日記』を観た。

佐伯一麦「一輪」(『一輪』(福武書店(ベネッセ・コーポレーション)、1991年所収)※初出は「海燕」1990年12月号)を原作とする東映Vシネマ『F.ヘルス嬢日記』(1996年)を観た。もうずっと前にDVDを購入していたのだがなかなか落ち着いて観る時間がなかっ…

スケールしないことをやる

Airbnbが上場した頃、NewsPicksがTwitterで同社の苦しかった時期のエピソードを漫画で紹介していた。その中で、スタートアップ養成スクールの創業者が、Airbnbの創業者に「スケールしないことをやるんだ」と言う場面がある。Airbnbの創業者は、スケールしな…

板橋区の最古刹

年末年始のある日、板橋区赤塚の大堂という寺に杖をひいた。板橋区教育委員会『文化財シリーズ第76集“まち博”ガイドブック 下赤塚・成増・徳丸・高島平地区編』(1994年)によると、この寺は板橋区の最古刹であるらしく、創建は大同年間(806~808)といわれ…

アドラー心理学雑感

アドラー心理学はビジネスの世界では盛んに喧伝されている。私ももう、何度となくYouTubeで見ているビジネスマンなどがアドラーの言ったことを引用しているのを見た。 最も多いのは「課題の分離」で、自分の課題と他人の課題を切り分けて考えよう、キャリア…

「杖をひく」

年末年始の休みは、ゆっくり近所を散策することができた。そうして訪ねた古寺の敷地の中に、その古寺を説明する教育委員会の案内板があり、そこには、その古寺の鐘は文人の垂涎の的で、江戸時代から「杖をひく」人がたくさんいたと書かれていた。 「足を運ぶ…

織物を織る

こないだあるライターから、どんな意識で文章を書いているか、という質問を受けた。そのライターは私以外のライターにも同じことを聞いたらしく、書く対象に憑依する、とか、彫り物を彫る、などと回答されたと言っていた。 私は「織物を織るような感覚」と答…

永井荷風と桜草

先日、都立浮間公園を訪れた際に「浮間ヶ原のサクラソウと桜草圃場」という案内板を見た。そこには、浮間ヶ原(浮間ヶ池の東側)をはじめとする荒川沿いの原野はサクラソウの群生地が広がっていて行楽地だったが、それは大正時代までのことで、荒川の流路が…

蛻変

最近、そんな言葉を知った。「ぜいへん」と読む。「蛻」とは蝉や蛇が脱皮することで、羽化して成虫になること。転じて、人間や企業が自己変革・経営変革を成し遂げる、といった意味も持つらしい。 この言葉は、ある経営者の話の中に出てきたのである。先日も…

板橋区立郷土資料館「マユダマ飾り」

1月9日から板橋区立郷土資料館の古民家で「マユダマ飾り」の展示が始まった。マユダマ飾りとは、1月15日の小正月のお飾りのことで、稲をはじめとする農作物の豊作を願う予祝行事の一つ。養蚕と関わりがある地域では繭の豊産を願ってマユダマを作るらしい。 …

板橋区立郷土資料館「板橋と光学vol.3」

板橋区立郷土資料館で企画展「板橋と光学vol.3 いたばし産のカメラたち」が開催中なので、さっそく見てきた(2020年12月12日から2021年3月21日)。 「vol.3」とあるように、過去に2回開催しているシリーズ企画の第三弾である。「vol.2」を開催したのは2010年…

映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を観た。

先日、久しぶりに映画館に足を運んで映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を観た。 私は原作を読んでいないしアニメも見ていないが、何かと話題だし、子供が観たいと言ったので一緒に観に行ったのだ。 感想はシンプルで、けっこうグロいなぁ…と。首が飛んで…

区制普及映画「伸びゆく板橋区」を観た。

板橋区公文書館のTwitterで紹介されていた板橋区の区政普及映画「伸びゆく板橋区」を観た。YouTubeでも配信されているが、公文書館でDVDの貸し出しも行われている。 ストーリーは、板橋区の風景を描く画家が区のことを学ぼうと、区役所を訪ねて勉強するとい…

板橋区立郷土資料館コレクション展「樺太アイヌ 人類学者、樺太へ渡る」

板橋区立郷土資料館で2020年12月1日から3月31日まで開催されるコレクション展「樺太アイヌ 人類学者、樺太へ渡る」を見た。 人類学者とは石田収蔵(1879-1940)で、秋田県出身で晩年は板橋区(現在のイオンモール辺り)に住んでいたということで、板橋区ゆか…

島崎藤村を知らないとまずいか

こないだ、あるライターの珍妙なエピソードを耳にした。そのライターがまだ本格的にライターになる以前のエピソードなのだが、小説家の島崎藤村のことを知らず、「『ふじむらとうそん』って誰ですか?」と発言したそうなのである。島崎が抜け落ちて「藤村藤…

ポジティブ思考とワナビ

ポジティブ思考について書いたネット記事を読んだ。半分まで水が入ったコップを見て、「まだ半分もある」と考えるのがポジティブ、「あと半分しかない」と考えるのがネガティブなのだという。何かと不安定でストレスが多い現代では、ある程度は楽観的である…

佐伯一麦と坪内祐三

「ユリイカ」2020年5月臨時増刊号は「総特集●坪内祐三」で、ここに佐伯一麦が寄稿しているので図書館で予約していたが、このほどようやく読むことができた。 寄稿は「回想・坪内祐三」というタイトルで、坪内の思い出を語ったものだ。佐伯は「それほど深い付…

テレビドラマ「一億円のさようなら」

NHK BSで昨年放送されたドラマ「一億円のさようなら」を全て見た。原作は白石一文の同名小説で、ドラマは昨年9月27日から11月15日にわたって放送された(全8回)。録画してゆっくり、時間がある時に見たので見終えるのがずいぶん遅くなった。 長年連れ添った…

「鶴の恩返し」的な。。

こないだ知人と話していた時、その人が、仕事を家に持ち帰って26時くらいまでやっている、と言ったので愕然とした。さらに聞いてみると、その人の同僚も同じような状況にあるらしく、持ち帰り残業だから残業の申請はしていないし、当然ながら残業代は支払わ…

寒紅梅が咲いていた。

冬のある休日、都立赤塚公園の寒紅梅の花が咲いていた。 赤塚公園のTwitterによると、クリスマスの日には咲いていたらしい。公園のサービスセンターの方が驚きのコメントと共に写真付きで投稿したが、もともと寒紅梅の花は寒い時期に咲くようだ。 私はそのツ…