杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

ポジティブ思考とワナビ

ポジティブ思考について書いたネット記事を読んだ。半分まで水が入ったコップを見て、「まだ半分もある」と考えるのがポジティブ、「あと半分しかない」と考えるのがネガティブなのだという。何かと不安定でストレスが多い現代では、ある程度は楽観的である必要があるが、ポジティブ過ぎてもダメで、現実のリスクをきちんと見据える一種のネガティブさとのバランスが大事であるらしい。確かに。

これはビジネスマン向けの記事だったが、ワナビだって結局は同じ姿勢でいるべきなんだろうな、と読みながら考えた。大学を出て会社で働いているが、小説家とかミュージシャンとか俳優とかになりたいと思っているワナビは、創作などの活動にもっと打ち込みたい、あるいは今勤めている会社なんてもう辞めたい、などの理由から早まって退社してしまうことがあるかも知れない。けれども、言うまでもなく会社を辞めたからって即プロとして活動できるようになるわけではないし、定収入がなくなって貯金が尽きたら会社員時代以上にやりたい活動から遠ざかるだろう。

ワナビは、いつ「なりたい自分」へと続く扉が開くかが分からない状態を毎日を過ごすしかない。いつか扉が開くと信じ、創作して発信して…つまり「行動」し続けるしかない。未来は見えないけれどやり続ける。それが辛いのである。ポジティブ思考に傾けば、会社を辞めて時間を作ればもしかしたら上手くいくかも…と淡い期待が出てきて会社を辞める選択肢が浮かんでくるかも知れない。しかしその保証は全くないので、うかつに現状を飛び出してしまうのは賢明とは言えないだろう。

ネット記事には、信じるのは成功ではなく自分、とあった。その通りだと思う。