杉本純のブログ

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板橋区の最古刹

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年末年始のある日、板橋区赤塚の大堂という寺に杖をひいた。板橋区教育委員会文化財シリーズ第76集“まち博”ガイドブック 下赤塚・成増・徳丸・高島平地区編』(1994年)によると、この寺は板橋区の最古刹であるらしく、創建は大同年間(806~808)といわれているそうだ。

堂前の鐘楼にかかる銅鐘の銘文には、建武・延元(1334~1336)の頃には七堂伽藍をそなえた大寺だったが、永禄4年(1561年)、上杉輝虎(謙信)が小田原の北条氏を攻めた時に伽藍を焼き払った、と書かれているようだ。

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この銘文は中岩円月が撰文した鐘銘として、古来より風流文人の垂涎の的だったらしい。江戸時代から杖をひく者が多かったそうだ。今は赤塚の住宅街の中にあってひっそりとしているが、昔は焼き討ちにあったり文人が訪ねてきたりと、色んな出来事があった場所なのだ。