杉本純のブログ

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テレビドラマ「一億円のさようなら」

NHK BSで昨年放送されたドラマ「一億円のさようなら」を全て見た。原作は白石一文の同名小説で、ドラマは昨年9月27日から11月15日にわたって放送された(全8回)。録画してゆっくり、時間がある時に見たので見終えるのがずいぶん遅くなった。

長年連れ添った妻が巨額の資産を相続していたことを知った男が、妻から渡された1億円を持って妻と別れ、人生をやり直すが、最後は家族がほぼ元通りになるハッピーエンドの話である。

テーマはごく凡庸で、家族、夫婦、お金、働くこと、などについて、一般的な良識を提示するものである。今日的であるとも言えると思う。風変わりなのは安田成美演じる妻だが、周りがあまりに普通人なのでそう見えただけかも知れない。

夫婦が出会った頃と現在をカットバックで見せつつドラマが進行し、ときどき上記のようなテーマを滲ませるが、見させるのはストーリーの方で、巨額の遺産の存在の発覚、大人になりかけている子供たちの転機、主人公の退社と再出発、新たな事業への挑戦、などがテンポよく展開する。ドラマ化のポイントは、このストーリー展開だろうと思う。

ストーリーテリングの優れた作品は、うまくいくと国際的な成功も収めるらしい。この作品の場合、今日的なテーマを設定し、ストーリーの展開を上手にやったことがドラマ化された要因なんじゃないか。そんな風に思った。