杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

映画『ミザリー』を観た。

『ミザリー』あらすじ ロブ・ライナー監督『ミザリー』(アメリカ・1990年)を観ました。スティーヴン・キング原作。主演はジェームズ・カーンとキャシー・ベイツ。ベイツは本作でアカデミー主演女優賞を受賞しました。 主人公は小説家ポール・シェルダンで…

バルザックと「ざくろ屋敷」

玉突きの合い間に書いた 柏木隆雄『バルザック詳説』(水声社、2020年)を読んでいます。全450ページ超、本文二段組というヘビーな一冊です。同じ著者による『謎とき「人間喜劇」』(ちくま学芸文庫、2000年)をベースとし、いくつかの論文を追加して再編集…

調べ物の世界

推理と検証の連続 浅野高史・かながわレファレンス探検隊『図書館のプロが教える〈調べるコツ〉』(柏書房、2006年)を面白く読んでいます。これは、架空の図書館を舞台とした小説形式でレファレンス・サービスの提供事例を紹介し、図書館を使った調べ物のコ…

虚仮の一念

特別な才能がなくとも そういう言葉を最近、聞きました。「愚かな者が一つのことにひたむきに打ち込むこと」を意味します。「虚仮の一念岩をも通す」などという言い回しで、才能がなくとも努力を続ければ難事を実現できる、といった意味に使われます。私は母…

「真剣に生きる」

西村賢太と山田ルイ53世の対談 西村賢太は昨年、週刊誌「SPA!」で芸人の山田ルイ53世と対談しました。今回、西村の訃報に接して、SPA!がウェブ版で同記事を改めて掲載しました。 本記事は特集「中年のお悩み白書」の一部であったようですが、西村の中年期を…

FAY CE QUE VOUDRAS

立花隆vs.田中角栄 BSで放送された「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」の「立花隆vs.田中角栄」を観ました。 2021年に亡くなった立花隆が1974年に「文藝春秋」に発表した「田中角栄研究」を巡る、文春、田中、海外特派員それぞれの物語を描いたもの。立花…

映画生活復活

でも油断しては駄目 一年くらい前にこのブログで、映画は自分にとって一つのバロメーターだと書きました。映画を観ようとするのは、体力、知力、気力が充実しているかどうかによって決まるので、映画を観たくないな、と思ったらそれは疲れている証拠、という…

決めなくていい。3

世の中が変わってきた すでにこのブログで何回か書きましたが、判断や決断をするにはけっこうエネルギーが必要です。それだけでなく、いったん何かを決めたら、その通りにしなくてはならないと思うので、さらにエネルギーが必要になるような気がします。 そ…

枯れ枝をへし折って強引に束ねた作品

古井由吉の十五年前の評 古井由吉と佐伯一麦の『往復書簡『遠くからの声』『言葉の兆し』』(講談社文芸文庫、2021年)は、新潮社の『遠くからの声―往復書簡―』(1999年)と朝日新聞出版の『往復書簡 言葉の兆し』(2012年)を底本として合本し、改題したも…

練馬区立石神井公園ふるさと文化館 特別展「作家・庄野潤三展 日常という特別」

ステッドラーの3Bの鉛筆 練馬区立石神井公園ふるさと文化館に行き、特別展「作家・庄野潤三展 日常という特別」を見ました。2021年に生誕百年だった作家・庄野潤三は、川崎市多摩区の丘の上に住んでいたのが有名ですが、その前に八年間、練馬区に住んでいた…

板橋区立熱帯環境植物館「猫沢八郎Pieceful World」

白線画家・猫沢八郎 板橋区立熱帯環境植物館で開催中の「猫沢八郎Pieceful World」を見てきました。 このイベントは、板橋区在住の画家・猫沢八郎の作品を展示するもの。猫沢さんは「白線画家」というらしく、私はそのジャンル?は知りませんでした。白い線…

映画『遊星からの物体X』を観た。

カート・ラッセルが若い 先日、映画『遊星からの物体X』を観ました。ジョン・カーペンター監督による1982年のアメリカ映画。これはジョン・W・キャンベルによる原作『影が行く』を映画化したもので、同作はすでに1951年に映画化されており(邦題『遊星よりの…

松岡正剛「千夜千冊」

二十年以上書き継がれている書評 先日、久しぶりに松岡正剛の「千夜千冊」を見に行きました。おお、続いている…と思いました。 「千夜千冊」は松岡正剛により2000年2月から二十年以上も書き継がれている書評です。中谷宇吉郎『雪』で第1夜が始まり、2004年7…

佐伯一麦と古井由吉

二人の縁の始まり 『新潮』3月号は「アンケート特集 古井由吉の文 三回忌に寄せて」という特集が組まれています。古井の著作の中から文章を選び、それに関わる思いを述べるもので、寄稿者は石井遊佳、岸政彦、佐伯一麦、鈴木涼美、諏訪敦、諏訪哲史、滝澤紀…

難しい漫画2

『ママ友がこわい』ストーリー 野原広子の漫画『ママ友がこわい』(KADOKAWA、2015年)を読みました。私は前に同じ著者による『消えたママ友』(KADOKAWA、2020年)を読み、自分が男だからか、やや共感が難しいところがあって困った経験があったのですが、本…

モーパッサンの名言の起源

元はフローベールの言葉? 才能とは何か、についての名言として有名な「才能とは持続する情熱である」は、モーパッサンの言葉であるらしいです。私がこの言葉を知ったのはネット記事などを通してでしたが、その記事を書いた人は、恐らくモーパッサンの作品は…

映画『激突!』を観た。

今でも十分観られる スピルバーグ監督の『激突!』(1971年、アメリカ)を観ました。何年ぶりだろうか…実に久しぶりでしたが、面白かった。 追い越したタンクローリーのドライバーが腹いせに嫌がらせをしてきて、命懸けのカーチェイスにまで発展する異常な話…

板橋区立郷土資料館コレクション展「花鳥風月ワンダーランド」

飯田侃家資料の一部を公開 板橋区立郷土資料館に行き、コレクション展「花鳥風月ワンダーランド」を見てきました。郷土資料館は今年で開館50周年を迎えますが、その長い年月の間に様々な資料を収集してきました。今回のコレクション展では、その中から絵画資…

夢中になったもん勝ち

「~もん勝ち」いろいろ これまでこのブログで、人生というのは何をしたら「勝ち」あるいは「成功」なのかをあれこれ考えた記事を書いてきました。 勝ちや成功の定義は人によって様々でしょうが、人生というのは結局「笑ったもん勝ち」であり「面白がったも…

研究は恋か

ある意味では恋かも 石黒圭『文系研究者になる』(研究社、2021年)は、文系分野の研究者を志す人向けに「研究する人生」について指南する本です。 目次をざっと見たところ、大学院に行って修士や博士を目指す人向けの本かなと思いました。現にそうなのでし…

角川文庫リバイバル・コレクション

高級感のある金色カバー 角川文庫のリバイバル・コレクションは、古書店で古本探しをしたことのある人ならたいていは見たことがあるのではないでしょうか。高級感と特別感のある金色カバー。いかにも数多の絶版文庫から精選されて復刊された感じで(実際そう…

鷗外没後百年

没後100年、生誕160年 文京区のある通りを歩いていたら、商店街の電灯に「森鷗外没後100年」という旗がありました。文京区には森鷗外記念館があり、そこで特別展も行われているため、没後百年の今年はPRに力を入れているのだと思います。 鷗外は1922年没で今…

西村賢太の思い出

私小説の書き手として 西村賢太が亡くなりました。54歳。早過ぎる死に驚いています。 2020年には坪内祐三が死にましたが、つい先日に石原慎太郎が死んで、その後を追ったような感じがします。恩人であり理解者でもあった人がいなくなり、西村にとっては精神…

人生のデザイン

安易に辞めるべきではない 先日から拾い読みしている本多信一『会社を辞めて「成功した」50の生き方』(ぶんか社、2002年)。その「はじめに」に、次のような箇所がありました。 自分の生きる人生は自分でデザインしなくてはならない。デザインがはっきり決…

鬼いろいろ

今週のお題「鬼」 久しぶりに「お題」に参加することにしました。今週のお題は「鬼」、ということで、考えるとあれこれ思い浮かびますね。一つずつ書いていきます。 程度が甚だしい=鬼 まず、最近は「程度が甚だしい」という意味でよく「鬼」が使われるよう…

佐伯一麦と梶井基次郎

佐伯一麦と「檸檬」 佐伯一麦は「木を接ぐ」で1984年に「海燕」の新人賞をとってデビューしました。 その前年、同じタイトルの作品を第56回文學界新人賞に応募し、一次選考まで通過しています。その時に用いた筆名は「佐伯麦男」というもので、佐伯はこれを…

面白うてやがて悲しき…

ライターの「引退どき」 本多信一『会社を辞めて「成功した」50の生き方』(ぶんか社、2002年)をぱらぱら読んでいます。 本書は、職業や人生に関する無料相談業を続けてきた本多さんが、応じた相談の中で感動した事例を紹介して読者の人生選択に役立てても…

井出智香恵と国際ロマンス詐欺

借金7,500万円 先日、BSで放送された「全告白!国際ロマンス詐欺~漫画家が陥った“偽りの恋”」を見ました。レディースコミックの漫画家・井出智香恵先生が、ハリウッド俳優を名乗る男からSNSを通してメッセージを受け、恋愛感情を抱いてしまった挙げ句に7,50…