立花隆vs.田中角栄
BSで放送された「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」の「立花隆vs.田中角栄」を観ました。
2021年に亡くなった立花隆が1974年に「文藝春秋」に発表した「田中角栄研究」を巡る、文春、田中、海外特派員それぞれの物語を描いたもの。立花が田中の金脈を暴くのに用いたオープン・ソース・インテリジェンスという手法は、今なら当たり前のように思えるものですが当時は画期的だったようです。私も文学研究の過程では、登記などを確認したりはしませんが基本的にオープンになっている資料を集めて検証しているので、近いことをしているのかなぁなどと思ったりしました。
田中の金権政治に対する三者三様の見解は、見ていてそれなりに面白かったですが、60分という尺では物足りない、というかもっと多くの登場人物がいただろうし、もっと様々な思惑が交錯していたんじゃないかな…と思いました。
『ガルガンチュア』の言葉
立花の記事と並べて掲載された児玉隆也の「淋しき越山会の女王」は、恥ずかしながら初めて知り、読みたいと思いました。今は、絶版らしいですが岩波現代文庫で出ているらしい。児玉はこの記事を出した後にがんで亡くなっており、自身を取材対象とした記録も収録されているとのことで、興味深いです。
番組の最後、立花が経営していたゴールデン街のバー「ガルガンチュア」にある、立花が手で彫ったという「FAY CE QUE VOUDRAS」が紹介されていました。番組では「やりたいことだけをやれ」と紹介されていましたが、本来は「汝の意志することを行え」という意味のようです。ラブレーの『ガルガンチュア』に出てくる言葉です。「やりたいことだけをやれ」は、立花がそう言っていたのかなと思いました。