杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

調べ物の世界

推理と検証の連続

浅野高史・かながわレファレンス探検隊『図書館のプロが教える〈調べるコツ〉』(柏書房、2006年)を面白く読んでいます。これは、架空の図書館を舞台とした小説形式でレファレンス・サービスの提供事例を紹介し、図書館を使った調べ物のコツを伝える本です。様々な分野の調べ物が例として出ており、その分野で使えるレファレンスブックも紹介されているので、ためになります。

また私は現在、門井慶喜『おさがしの本は』(光文社文庫、2011年)も読んでいて、これも、図書館のレファレンス・カウンターに寄せられた本探しの依頼に応える内容です。つまりレファレンスに関する本ばかりを読んでいるわけです。本の世界の探検は推理と検証の連続になるので、その経緯を描くのに小説という形式は向いている気がします。

際限なく深い世界

一方で、最近BSで立花隆による「文藝春秋」の「田中角栄研究」に関するドキュメンタリーを見ました。立花がチームを組織して行った取材は、図書館を利用した調べ物とはまったく違うものです。しかし、どちらもオープンソースの情報を元に事実に到達しようとする行程を辿っており、面白いなぁと感じます。

私はある小説家について、レファレンス・サービスを利用したのはもちろんですが、昔の住宅詳細地図を見たり小説作品の舞台を実際に歩いたりして調べたこともあります。その過程はまさに冒険であり楽しいものですが、調べ物というのは不思議なもので、調べた先に新たな謎が出現することがあり、その世界は際限なく奥深い。本やテレビを見ながら、そんなことを感じています。