杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

世界は精密、世間は粗雑

最近、漠然と感じること。世界はあくまで精密にできているが、文明や社会はいい加減で、粗雑ですらある。

人間は人間同士で集まり、組織を形成し、ルールや習慣を使って運用する。しかしそのルールは巨細にわたり厳密に適用されてなどおらず、習慣もまた、一定のベクトルを持つもののあくまで習慣に過ぎず、人はそれぞれ自分の都合に合わせて行動し、時に習慣に背いてもいます。

物理法則や論理は極めて厳密に、完璧に適用されているのは間違いないと思います。しかし人間はそうではありません。法も思想も、どれだけ浩瀚な書物に書き表したとしても、世界の精密さにはまったく手が届かず、つねに穴だらけではないか。

小説というのは、人間同士の出来事を描いた「お話」だと私は思っています。上記を元に考えると、小説のキャラクターは結局は不完全であり、おかしな判断や行動をします。しかし世界はキャラクターの動きなどとはまったく関係なく、常に厳密に、完璧にその法則を現実に適用しています。