杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

知の栄養源

前にも書いたが、このところ多忙のために読書時間が少なくなり、精神の余裕を失っていた。最近気がついたのは、読書だけでなくドキュメンタリー映像を見る時間も減っていたということである。私は映画でもテレビでも、国内外のドキュメンタリー映像作品をよく見るのだが、最近はそれが欠けていた。そのために知的好奇心が満たされず、精神的な張り合いを失っていたように感じる。

ノンフィクション作家の立花隆は、架空の小説よりも現実世界の方が多重多層の構造になっていてはるかに面白いと、たしか二十代の頃に感じたそうで、それが文学からノンフィクションに転向する動機につながったらしい。

小説とか架空の物語でも多重多層の世界を構成している作品はなくはない。しかしよくできたドキュメンタリー作品を見ると、数多くの人間が様々な思惑をもって関わっている現実世界の複雑さが窺えて、やはり見応えがある。

そういうものを見ることが、私において精神的あるいは知的な栄養になっていたと思う。コロナ禍で仕事や余暇の過ごし方などの変化が生まれてきているが、知の栄養を得る習慣は失わないようにしたい。