杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

『バビロン大富豪の教え』

人間万事塞翁が馬

先日から読んでいたジョージ・S・クレイソン原作の漫画『バビロン大富豪の教え』(漫画:坂野旭、翻訳協力:斎藤慎子、文響社、2019年)を読了しました。

先日もこのブログに書きましたが、私が本書を手に取った目的は、本書の内容をお金に関する教養の一つとして知っておきたかったからです。

古代バビロニア王国の大金持ちが身につけていた「黄金に愛される七つの道具」を使い、そして「五つの黄金法則」に従って真面目に働けば、多くの人がお金の心配なく生きていくことができる、といった内容です。そのことが、バビロニア王国現代日本という二つ世界を舞台としたストーリーで展開され、とにかく読みやすいです。

この七つ道具を駆使しない、あるいは五つの法則に従わないお金持ちもいるでしょうし、逆に道具を駆使し法則に従ってもお金持ちになれない人もいるでしょう。ただ、お金や仕事をどう捉え、人生の中でどう付き合っていくかについての考え方として、この道具と法則は説得力が高く、普遍的ではないかとさえ思います。

我が身を顧みると、私と私の家族はこの道具と法則をかなりよい形で実践しているように思います。しかしそれはコツコツと貯金する、といった面に限られているような気がする。一方の投資的な視点、例えば道具の一つ「貯えた金に働かせよ」や、法則の一つ「黄金に稼げる勤め先を見つけてやり、持ち主が群れを膨大に増やす羊飼いのように賢明ならば、黄金は懸命に働くことだろう」などは、ほとんど実践できていないように思います。

私は二十代の頃、貯めたお金を使い切っただけでなく借金まで背負いました。また、ひどい薄給の仕事に就いてしまったため、お金に困り、人生もかなり悪い方へ落ちてしまったように思います。

当時から本書に書いてあるような道具を使い、法則に従っていれば、もうちょっとマシな青春時代を送れたかもしれない。しかし、暗い青春の中で舐めた苦汁は、それはそれで道具と法則を深く理解し、よく実践する力になっている気がします。すべて人間万事塞翁が馬なのだと思います。