杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

ギバーとテイカー

縁を切るべき人

美輪明宏さんが以前、「人に与えるようになると、力はどんどん湧いてくる」と、たしか『人生ノート』(パルコ、1998年)か『天声美語』(講談社、2000年)に書いていました。

最近、アダム・グラントというアメリカの心理学者が書いた『GIVE&TAKE』という本(三笠書房、2014年)の存在を知りました。その中には人間の特性は三つに分類できるとして、以下が挙げられているそうです。

・ギバー(Giver:与える人)
・テイカー(Taker:受け取る人)
・マッチャー(Matcher:帳尻を合わせる人)

愛情に溢れ、他人にも惜しみなく注ぐ人は、上記のギバーに該当します。美輪さんが書いていたような人は、ひょっとしたらこのギバーなのではないかと思います。

ただ、ギバーには「成功するギバー」と「燃え尽きるギバー」がいるらしいです。成功するタイプは、他人に与えながらも自分のことも大切にするのに対し、燃え尽き型は求められるままなんでも与えてしまう自己犠牲型であるそうな。それに対し、テイカーとはいわゆる「くれくれちゃん」で、自己中心的で人から貰うことばかりを考えている人であるらしい。

私の周囲にはギバーもテイカーもマッチャーもいますが、マッチャーのことはここでは触れないことにします。

ギバーがテイカーに出会ってしまうと大変なのは想像に難くありませんが、私はかつて上記の自己犠牲型のギバーだったことがあり、質の悪い吸血鬼のごときテイカーに命を吸い取られたことがありました。吸い取られている間、要するにそのテイカーと一緒にいた時間は、自分はただ相手に気に入られるためだけに生きているという感じで、疲弊の一途を辿り、心身ともに消耗します。

私は自分が迷妄に囚われていることに気づき、そのテイカーとは縁を切ることができました。しかし、吸い取られたものは大きかったらしく、今もあまり他人を心から信頼することができなくなっているような気がします。テイカーとは決して関わってはいけません。