杉本純のブログ

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HSPいろいろ

高野優『HSP!自分のトリセツ 共感しすぎて日が暮れて』(1万年堂出版、2019年)を読んでいる。著者は元は会社勤めをしていたらしい漫画家・イラストレーターで、幼時から大人になるまでに経験した、HSPならではの辛い体験を漫画と短文にユーモアを込めて綴っている。

著者が入った会社はデザイン事務所だったらしいが、HSPの傾向がある人にとって、マルチタスクはかなりの心理的負担があるようだ。それは私も常々感じていることではあるが、そもそもマルチタスクは誰にとっても良い環境とは言えないだろうとも思う。

一方でさらに問題なのは、HSPの人は、マルチタスクの中で失敗しやすくなるだけでなく、自分はなんて要領が悪いんだと自責し、自信をなくしてしまうことだろう。HSPでも人の役に立つことはできるだろうが、マルチタスクの世界ではそれが難しいのかも知れない。

また本書を読んで考えさせられたのは、自分がHSPであることが、自己防衛や自己主張の道具になってしまうかも知れないということ。本書では、他人の中に、HSPの人に対しそういう見方をする人がいる、と書いてあるのだが、現にそういうHSPの人はいるかも知れない。自分はHSPです、人一倍敏感なんだから気を遣ってもらわないと困る、などと言い出すのは、もう「敏感な人」とは言えないだろう。