杉本純のブログ

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研究は注解を書くこと

白水社のPR誌「白水社の本棚」2021年春号の岡崎武志「愛書狂」は、新潮文庫における谷崎潤一郎作品の細江光による注解の質の高さを紹介している。

「愛書狂」によると、「文庫の注解は労多くしてギャラは少ない」とのこと。とはいえ、私は素人ながら文学研究めいたことをやっていて、作家に関する新事実や作品の成立事情を突き止める楽しさを感じている。研究成果は注解に記載できる事項であり、だから研究というのは注解を書くことじゃないか、などと勝手に思っている。

バルザック『従妹ベット』にはミケランジェロ・カエターニへの献辞がある。カエターニはダンテ研究を著した人だそうだが、バルザックは「ダンテ註釋家として至つて造詣の深いあなた」と書いている。