杉本純のブログ

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佐伯一麦の『蜘蛛の巣アンテナ』

古書店佐伯一麦『蜘蛛の巣アンテナ』(講談社、1998年)を入手したのだが、これは佐伯文学に親しむ者にとってはけっこう重要な一冊なのではないかと思う。

まずこれは佐伯の第一エッセイ集である。さらに、佐伯の現在の妻である草木染め作家の神田美穂が装画(エンブロイダリー)を提供している。この二点からして、佐伯にとっては記念するべき一冊であるのは間違いないと思う。

本書の内容は、「書簡集」、「蜘蛛の巣アンテナ」、「山麓より」で、いずれも佐伯が九十年代に書いたものだ。

神田が装画を提供した本は、『蜘蛛の巣アンテナ』の他に『ノルゲ』『ピロティ』がある(他にもあるかも知れない)。ちなみに佐伯は村上春樹の本の画で有名な安西水丸からも『遠き山に日は落ちて』と『草の輝き』で装画を提供されている。

佐伯の本の中には司修が装丁を担当した物もある。佐伯の著書の画・装丁を担当した人を一覧化してみると面白そうだ。