杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

聖書の物語世界

ストーリーとビジュアル

サリー・タグホルム、アンドレア・ミルズ『ビジュアル版 はじめての聖書物語』(山崎正浩訳、創元社、2022年)を読んでいます。

世界で最も広く読まれているといわれる「聖書」ですが、私の大学時代の先生は以前、最もよくできた小説は「聖書」だと思う、と話していました。しかし私はぜんぶ読んでおらず、その広い物語世界を知りたいと思いながら、それがなかなかできずにいました。本書はタイトルからして、それを嚙み砕いて紹介してくれる入門書、といった雰囲気があったので、手に取りました。

イラストが豊富で、読みやすいです。聖書のいろんなエピソードが紹介されていて、漫画「ONE PIECE」に使われているんじゃないか、と感じられるものも少なくありません。文学でいえば、たしかフォークナーの長篇『アブサロム、アブサロム!』のタイトルは旧約聖書から使われたものでしたが、本書では「アブシャロム」という名前で紹介されています。また曽野綾子の本を通して興味を持ったパウロについても、もちろん紹介されています。

あらゆるエピソードが、ストーリー性と共にビジュアル的要素にも富んでいて、やはりエピソードというのは映像と共に記憶されるものだなぁ、という思いが強くなります。それは、日本の古典物語を読んでも感じることです。

聖書の全貌を一朝一夕で知るのは難しいと思うので、少しずつでも読んで、教養として身につけていきたいと思っています。