杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

適応障害の当事者と家族

広く読まれるべき本

精神科医の浅井逸郎監修『心のお医者さんに聞いてみよう わが子、夫、妻…。大切な家族が「適応障害」と診断されたとき読む本』(大和出版、2022年)を読んでいます。

かつて、「適応障害」だと診断され一か月ほど仕事を休んだ人が知人にいました。その人が実際にどんな症状が出ていたのかを聞く機会があったのですが、私自身も多分に身に覚えのあることで、それどころか私はさらにひどい症状があり、かつそれが続いていたため、ひょっとしたら俺も適応障害かも…と思ったことがありました。正確に知るにはちゃんと医者にかからないといけないな、と思いながらもその機会を持てず、今に至っています。そんなこともあり、本書はタイトルを見てすぐに手に取りました。

タイトルの通り、本書は適応障害になった本人ではなく、その家族がするべき理解の仕方と寄り添い方について書かれたものです。

「はじめに」によると、適応障害は「ストレスを引き起こす因子へのとらわれ」と、そのストレスへの対処(コーピング)がうまくいかない「ストレスコーピングの失敗」という二つの条件から生じる、とのこと。中には月30時間の残業でも黄信号になる人もいるらしいです。また、家族から、「完璧であること」を求められたり、「全てか無か」といった二分思考による対応を取られたりすると発症することもあるそうです。

読んでいて、たしかに「根性で頑張る」式の価値観はまだ日本に根強くあるかも…と思いました。しかしそれよりも、すでに適応障害というのはごく間近にあり、一歩間違えば誰もが発症しうる状態にあるんじゃないか、という気が強くしました。コロナ禍を背景にした「コロナ鬱」が増えている話も聞くし、テックストレス、マルチタスクなど、脳が疲れる要素は日常生活に溢れているとも感じます。恐ろしいものです。広く読まれるべき本ですね。