杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

アイドルワナビ

大切なのは、夢が破れた後

Eテレねほりんぱほりん」。今シーズンも楽しく見ています。

2月3日の放送は「元K-POPアイドル練習生」で、日本人女性と韓国人男性が登場し、ブタの人形で放送されていました。

私は流行に疎く、K-POPについてもほぼ知りません。これではいかんと思いますが、興味がないのだから仕方ないとも思っています。

さて、とはいえこの放送は面白く、いつものように得るものがありました。この人たちも、ワナビなのだな、と感じました。苛烈ともいえる練習をこなし、それでも世間のニーズとの不一致や業界事情などにより、デビューの夢が実現することなく消えていく…。ああ…。

とりわけ印象に残ったのは最後の方です。日本女性はデビューのために死力を尽くし、体調を崩すまでになりましたが、それでもデビューはできませんでした。女性は、体を壊し、心まで弱ってしまった、と話していて、かなり深刻にメンタルダウンしたんだなと、私は見ていて感じました。

私はありがたいことに体がわりと頑丈なほうで、二十代三十代の頃は体調を崩しても少し経てば復活していました。というより、単に脳天気な気質だったのだと思います。しかし、四十代に入るとさすがにダメージが蓄積し、あまつさえその影響からか精神的にもひどく落ち込み、絶望的な気分にさえなるようになりました。

ワナビが実現を目指す夢はしばしば、どれだけ渇望しても果たせず、ワナビ自身はそれに自分のあらゆるものを捧げてしまい、挙げ句、尾羽打ち枯らしたような状態になることがあります。

私が思うに、ワナビにとって大切なのは、夢が破れた後の人生に何が残っているか、です。それでも歌が歌いたい、あるいは小説が書きたい、などと思うのなら、続けられる形で続ければいい。そこには新しい風景が広がっているはずです。きっぱりと諦めて新しい人生を始められるなら、その程度の夢だったということです。それはべつにいけないことではありません。