杉本純のブログ

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津田彷徨『ネット小説家になろうクロニクル』

攻略本小説

津田彷徨『ネット小説家になろうクロニクル 1 立志編』(星海社、2016年)を読みました。

鈴木輝一郎先生がTwitterで、デビューしたいならこの小説に書いてあることくらいはしなきゃな、などと書いていたのを見たのがきっかけで手に取った一冊です。

本書は、小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載されている同名作品を、改稿して出版したものです。

怪我をしてサッカーを諦めた男子高校生がネット小説に目覚め、プロを目指して書き始め、書籍化の話を貰うまでが本編のストーリーです。

本書の「あとがき」には、著者はゲームの攻略本、中でも漫画や読み物が混じった形式のものが好きだった、とあります。その上で、「プロを目指し小説投稿サイトを攻略する。ある意味この本は、そんな攻略本文化の影響を受けているかもしれないと、作品を書き上げながら思っていました」と書かれています。

たしかに、いわゆる「青春もの」というよりは、いかに小説投稿サイトからデビューするか、の手順やコツが紹介されている攻略本めいた小説という感じがします。

著者はゲーム攻略本が好きだったことについて、「ゲームをプレイできない環境でも、読み物として気軽に作品を追体験できた事が理由かもしれません」と書いています。これは、私もよく覚えています。ゲームの世界を感じていたい思いから、攻略本はもちろん、ゲーム雑誌を読みまくっていました。マジック:ザ・ギャザリングなどは、学校に説明書を持っていき、休憩時間中にも読み耽っていたものです。懐かしい。