杉本純のブログ

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テンプレ雑感

田島隆雄『読者の心をつかむ WEB小説ヒットの方程式』(幻冬舎、2016年)を読んでいる。小説投稿サイト「小説家になろう」に作品を投稿し、書籍化された作家へのインタビューが中心の本。まだ全部読んでいないが、作家たちへのインタビューの中で小説の「テンプレ」に言及している箇所が多く、興味深かった。

ここで言われるテンプレとは、物語におけるある一定の「型」であり、こういう種類の物語であればおおよそこういう流れに辿る、というものを指すのだろう。

世界中の神話を見ると一定の法則が導き出されるらしいが、ウェブ小説のテンプレもそれに近いものかも知れない。あるいは通俗小説に見いだされるお決まりの筋に近いものかも知れない。

三田誠広は、近代小説が批判した物語(ロマンス)が、ファンタジーやヒーローものやSFなど大衆小説の中に生き続けている、と書いていたが、物語の型=テンプレとはある種の必須要素なのだろうか。中村勘三郎は生前どこかで、「型」がないのは「形無し」だと言っていた。