杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

少年漫画を売った日

大学に入って実家を離れるのを機に、持っていた少年漫画を全て売り払い、映画や文学、中でも古典的な作品に接するようになりました。当時すでに連載中だった「ONE PIECE」を読むことだけはやめませんでしたが。

今振り返ると、実家を出て親元を離れ、漫画を売り払ったことは私にとってワナビの入り口、もっと言えば、やがてこじらせるに違いない道への進出だったように思います。

どういうことかというと、当時の私は、その頃の自分に満足できず、否定し、自分以外の何者かになろうと必死になり始めたのでした。自分を否定するのですから、自分が好きな少年漫画をも「こんな低俗なものは駄目だ」と否定するに及び、もっと高尚と思われる映画や文学に傾いていった、ということです。

強烈な自己否定が私自身の人生に落とした影は大きく、ワナビの苦悶を味わわせ、こじらせワナビの寂寞とした日々を過ごさせました。その期間はゆうに二十年を超え、今もその影から完全に抜けきったとはいえない状態が続いています。自分の思い通りにならない物事に心奪われ、自分を否定することほどの不幸はないでしょう。このことについては、もっと詳しく追究しなくてはなりますまい。またの機会に。