杉本純のブログ

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床屋政談

一般人の政治言説はほぼ床屋レベル

西村賢太の随筆集『一私小説書きの独語』(角川文庫、2016年)を読んでいて、面白い箇所がありました。「まだ時期尚早」というタイトルの、橋下徹総理の誕生を支持するか、というテーマに対し寄稿した「週刊文春」2012年5月17日号掲載の文章です。

西村はタイトルの通り、「橋下徹総理」の誕生を「時期尚早」として、「私のような床屋政談レベルの者でさえ、今の状況は拙速に流れることへ対しての危機感を覚えている」と最後に書いています。

「床屋政談」とは、床屋の主人と客が散髪のついでに交わすようなレベルの低い政治談議という意味。私はTwitterに流れてくる政治に関する一般人の言説は、影響力のある人は別として、そのほとんどが床屋政談の域を出ないだろうと思っています。そもそも、政治の現場にいない人が外から言う言葉は床屋政談にならざるを得ないのではないかとさえ感じています。

まあそれは置いておくとして、この「床屋政談」という言葉は、同人誌をやっていた頃に見たことがあります。同人の一人が同人誌に政治に関する言説を展開していたのに対し、読者の一人が、これは床屋政談だな、などと言っていたのでした。その同人は、思想だとか革命だとかいう言葉をよく口にし、政治に関することもよく分かった風な顔をして話していましたが、今は何をしているのか…。